元依頼者4 ページ18
DK side
DK「僕は助けられたんじゃなくて、助けを求めに来たじゃないか。」
言ってから後悔した。
これを言ってどうなるっていうんだ。
A様は眉を寄せ困った顔をしていた。
DK「ごめんなさい。そんな顔させたいんじゃないんだ。」
何を伝えたいのかうまく言葉にできずもどかしい。
助けられたのと、自分からすがるのではなにか大きな違いがある。
彼らはA様に母や姉や恋人の与えるような無償の愛を受け、僕は依頼者に仕事として愛を与えられているような。
優しいA様がそんな差別をしないことはよく理解できていた。
この、底知れぬ不安と名状し難いこの焦りによく似た感情をどうも僕は持て余していた。
DK「その…なんて言うか……((A「この屋敷はね！」…え？」
食い気味に入り込んできたA様に驚く。
A「貴方が逃げ込んだ、屋敷の裏門はね、いつどこに繋がるかわからないのよ。だから、普通の人間は簡単にはあの入り口を通れない。貴方がここに来れたのは、偶然なんかじゃない。妖に悩まされる人々は運命に導かれたようにあの門をくぐる。それは必然よ。私とソクミナは出会うべきして出会ったの。」
ゆっくりと心地よい言葉たちが、すんなり耳に入ってくる。
A「それに、ソクミナがその力を無くして欲しいと願った時、私は対価を受け取らないと言ったはず。ソクミナの手に触れた時、貴方の人柄と辛い記憶を見たの。ソクミナのために、依頼者としてでなく貴方自信の願いを叶えてあげようと思ったの。」
確かに、対価を求められたことは一度もなかった。
あぁ、こんなにもこの人は僕を想っていてくれたのか。勝手に、焦って、不安に思っていたのが恥ずかしい。
思わずA様を抱きしめる。僕の背中に回った小さな手が僕をあやすようにトントンとリズムを取った。
A「愛してるわ」
DK「僕も愛してます」
さっきまで持て余していた得体の知れない感情がスーと晴れていく。
奴らに悩まされた僕を、奴らのせいで孤独な僕を助けてくれた。
この人のために生きて行かなくてはいけない。
抱きしめた体を離し、そっと形のいいおでこにキスをした。
DK「貴方は僕が守ります。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 228人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SEVENTEEN」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アヤノ(プロフ) - ぴっぴさん» ありがとうございます！！頑張ってください！ (2020年8月21日 15時) (
レス) id: bda2bc6210 (このIDを非表示/違反報告)
ぴっぴ(プロフ) - アヤノさん» 楽しんでいただいてありがとうございます！長くなりそうなので、しっかりまとめて更新しますね。もう少しお待ち下さい！ (2020年8月20日 18時) (レス) id: 85fef5c911 (このIDを非表示/違反報告)
アヤノ(プロフ) - とても素敵な作品ありがとうございます！！とても面白いです 質問なのですが誰が何の妖なのか教えて欲しいです (2020年8月20日 17時) (レス) id: bda2bc6210 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぴっぴ | 作成日時：2020年8月17日 2時
