あなたの隣 2 ページ28
あの日は、飲み会だった。
「そろそろ、お開きにするか」
解散ムードが漂う中
「あ〜彩ちゃ〜ん」
ギュー
「ちょっ!先輩飲みすぎです」
「えへへ、彩ちゃんが飲まなさすぎなの〜」
「いやいや、私まだ未成年です」
「あれ〜そうなん?w」
「そうですよ〜
ハァ…恵先輩助けてくださーい!」
「んーどしたー?って、うわぁ〜wこりゃ、みるきー完全に潰れてるわ」
「ほんまや」
「彩ちゃん〜お家に連れて帰って〜」
「えっ!?私?」
「だって、彩!よろしく」
「はっ?えっ?菜々先輩…」
「みるきーのことよろしく!」
「マジですか…」
完璧に出来上がってしまっている先輩をタクシーに乗せて、私の家に連れていくことにした。
タクシーに乗ってる間、美優紀先輩は私の方にもたれて、気持ちよさそうに寝ていた。
「先輩つきましたよ〜」
「んー」
「ちゃんと、歩いてください」
フラフラ フラフラ
バタン
私の家に連れていくと、美優紀先輩はベッドを見つけそのまま飛び込んでしまった。
「もうほんまに、世話のやける」
……
「美優紀先輩、これ飲んでください」
水を手渡すと体を起こして、ゆっくりと飲んでくれた。
空になったコップを受け取り、歩き出そうとすると手をつかまれた
グイッ
「うわっ!」
そして引き寄せられた私に、美優紀先輩の両手が伸びてきて私の頬にそっと触れた。
と思った瞬間だった。
チュッ
小さなリップ音がした。
えっ?
そして、何事も無かったかのように美優紀先輩は寝てしまった。
頭は真っ白で、とりあえず持っていたコップを炊事場へ持っていった。
ガタン
コップを置いた瞬間。
さっきの光景がフラッシュバックされた。
自分の唇にそっと触れる。
(美優紀先輩と、キスした…?)
次の日、美優紀先輩はキスしたことも覚えていないようだった。
ーーーーーーーーーー
あの日以来、私は、美優紀先輩のことを意識してしまう。美優紀先輩が髪を耳にかける姿、リップを塗っている姿、ひとつひとつの行動を目にするだけでドキドキしてしまう。
キスは人を狂わせる。
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作者名:ハル | 作成日時:2015年12月22日 23時