１６３話 ページ22
「あ、杉元君……」
杉元は鯉登少尉を私からはがし、そのまま私を抱き寄せる。
「……なんだ杉元、お前には関係の無いことだが」
おもちゃを取り上げられた子供、と言うには気迫が桁違いだか、鯉登少尉が静かに杉元を睨む。
「別に？いつまでも絡まれたままのAがカワイソウだなぁって思ったからだけど？」
鯉登少尉とは対局に、杉元は楽しそうに挑発する。もっとも、杉元の目は据わったまま。一触即発な雰囲気が漂う。
(うわ……船室戻りたい)
杉元には抱きしめられたまま、と言うか逃げたら逃げたで面倒くさそう。二人は無言をつらぬいている。それにしても、
(私をダシにしてケンカップルはいちゃいちゃして……けしからん！もっとやれ！！)
もう少しこの状況を見ていたい自分もいる。
「それを言うなら、貴様もAを離したらどうなんだ！」
「俺は良いんだよ」
「答えになっとらん！！」
知らぬ間に言い争いがヒートアップしていく。
「失礼しますッ！」
そこへ、一人の海兵(恐らく鯉登父の部下)が現れる。
「AAさん、鶴見中尉がお呼びです」
ピシッと敬礼の姿勢をキープする海兵。私は前と後ろにいる二人を見る。
「……すみません、今行きます」
杉元の腕から抜ける。名残惜しいが、鶴見中尉から呼ばれてしまったのだから必ず行かなければ。
「じゃあ二人とも、また後で」
二人のポカンとした表情が面白く、思わず吹き出す。しかし、この後のことを思いだし、何もしていないのに疲労感が押し寄せる。
(一難去ってまた一難とは、まさにこの事だな)
ため息を吐き、私は重い足どりで海兵の後をついていった。
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華洛 - いちにちでよみきってしまいました！すごく面白かったです！更新待ち続けます！ (2022年5月19日 23時) (
レス) @page34 id: 9cd2997260 (このIDを非表示/違反報告)
冬華(プロフ) - 更新待ってマス！！ (2022年3月24日 22時) (レス) @page34 id: df15541a66 (このIDを非表示/違反報告)
名無し95348号(プロフ) - とても面白くて一気に読んでしまいました！更新待っています！！！！ (2020年9月22日 7時) (レス) id: ca8cd08e4b (このIDを非表示/違反報告)
マリンバ - めっちゃ好きです！(唐突)大変だとは思いますが、更新頑張ってください！ (2020年3月19日 15時) (レス) id: dd11928539 (このIDを非表示/違反報告)
境 - このお話好きになってしまいました！！！！更新頑張って下さい！！応援してます！！！！！！ (2020年1月17日 21時) (レス) id: 7788c7aee9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海豹 | 作成日時：2019年2月17日 1時
