七話 ページ8
待ち合わせのカフェに着くと、既に鈴木大河がいた。
うわお、まだ十五分前だぞ。
「あの、お時間頂いてすみません」
そう一声かけて目の前の席に座る。
緊張しているのがバレないよう、机の下でぎゅっと手を握りしめた。
鈴木「いえ。ご連絡ありがとうございます。お怪我、大丈夫でしたか？」
「はい。気にされていたようなので、一応病院に行きました。ただの打撲でしたので、本当に大丈夫ですよ。ですので、この件はもう終わりにしましょう」
鈴木「分かりました。でも治療費は俺に払わせてください」
予想通りの回答だ。
それもそのはず。私の右足首には、包帯が巻かれている。病院に行ったと見せかけるため、怪我を重く見せるため。
「そんな、元々は私の不注意ですから」
鈴木「でも怪我をさせてしまったのは俺です。あなただけに負担をかける訳にはいきません」
一向に退こうとはしない鈴木大河。
見ず知らずの人にここまで優しくできるなんて、だから彼女さんも依頼人も狂わせてしまうのだ。
私はあなたのように綺麗な人間では無い。その優しさを利用させてもらう。
「でしたら、お願いがあるんです。こんなこと頼まれたら困ると思うのですが、聞いてくれますか…？」
鈴木「俺にできることなら、なんでも言ってください」
ごくりと息を飲み、用意してあったセリフを口にする。
「一度だけ、私と出かけてくれませんか？」
鈴木「えっ……」
「いきなりこんなこと言われたら驚きますよね。実は以前、知人に告白されまして…断ったのにずっと言い寄られて、思わず嘘ついちゃったんです…彼氏がいるって…」
こんな話、さすがに無理ある。前回の作戦よりきつい。
もういっそ、情に訴えかける方向でごり押ししよう。
「それでも疑われて、写真見せてみろって…」
肩を震わせ、全面に辛いとアピールをする。
下手な演技かもしれないが、他に道はない。ここで断られてしまえば、前回の頑張りが無駄になる。
返事に困っていた鈴木大河は、しばらくの沈黙の後、たどたどしい声を振り絞った。
鈴木「構いませんよ。俺でよければ」
ちょろいな、こいつ。
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だるみちゃん(プロフ) - お返事ありがとうございます！更新されてて嬉しかったです！終わってしまったのが寂しいですがとても楽しく読ませて頂きました！ありがとうございました！ (1月23日 2時) (
レス) @page24 id: 6f86d707db (このIDを非表示/違反報告)
カケル(プロフ) - だるみちゃんさん» コメントありがとうございます！もうしばらくお話が続きますので、お待ちくださると嬉しいです！ (1月11日 21時) (レス) id: 2b08734d0c (このIDを非表示/違反報告)
だるみちゃん(プロフ) - 去年、このお話に出会い続きを楽しみにしています！ (1月2日 23時) (レス) @page18 id: 6f86d707db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カケル | 作成日時：2023年11月22日 11時
