音の世界と君だけの世界ーYUCHUNー 6 (ページ1)

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ーーカシャ、カシャ。

太朗「………」

写真家？
なんだろ

何撮ってんだろ。

太朗「なあ、おっさん自称的な写真家？」

護「んー。まあ、そんなとこ」

太朗「どんなの撮ってんの？」
護「こんなの♪♪」

見せてくれた写真。

風景写真ばかり。
夕方を背にした歩道橋、人の影。
散歩中のワンコ。
上を向いた時の木の姿。
青に変わった信号機。

どれも白黒(モノクロ)で、
でも、暖かさが伝わってくる物ばかりだった。

太朗「わ…っ、すげっ。凄い！写真てこんな綺麗に撮れるのか！？すげ！！」

護「あははっ、ありがとう。
写真の魅力は人それぞれの視点や感じ方で色々撮れる事だからなー。

どう？君も撮ってみる？」

太朗「え…」

護「君の見える世界が見れるよ。迷ってたりするほど鮮明に」

迷い…

なんだか、その言葉に惹かれた。

おっさんのカメラを受け取る。

ーーカシャ

空を撮った。

いつも下ばかり向いていた。
久しぶりに見た空。

もう太陽が沈みかかっていて、赤とオレンジと闇が混ざりあった色をしていた。

今の、俺みたいな空色だった。

涙が出た。どんどん溢れて、止まらなくなった。
おっさんが背中を優しく撫でてくれた。

黙ってずっと隣に居てくれた。