Snow Shine【2】 (ページ4)

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「未沢さん、滝沢さんから呼ばれてるよ。こっちは任せて。」

作業をしていると、スタッフさんのひとりが私を呼びに来てくれた。

手元にあったダンボールを引き取ってくれる。

「ありがとうございます。行ってきます。」

ふっかさんたちは直前準備をするため、私と別れた。

私のこぼしたつぶやきすら拾ってくれる彼に感銘すら覚える。

1人で取り乱してるだけなのに、迷惑なんかかけてられない。

「おまたせしました、滝沢さん。」

「久しぶり、A。」

「お久しぶりです。あの、どうして私を？」

滝沢さんは険しい顔をしてこっちを見た。

その迫力に少し背中が伸びた。

「何もなしに最終日に主演舞台を休演にすると思ったか？」

「へ？」

「こっちに来て。」

今の私の顔は本当に間抜けだと思う。

絞り出た声もアイドルとは程遠い。

「シゲから聞いた。Aが悩んでるって。こちらの都合でいろいろと分断してすまなかった。」

「えっと、」

「つまり、お前もSnowManだってことだ。」

ずんずんと歩き、角部屋までくる。

窓から光が差し込んだ部屋には、ずらりと衣装が並んでいた。

「Aこれ持って。」

滝沢さんが次々と和服を押し付けてくる。

「それ持って和室Dに行って、髪型とメイクをしてもらいなさい。」

「あの、」

「説明は着替えてから。ほら、とっとと動け。」

「は、はい！」

訳の分からないまま廊下を走った。

「Aちゃん！何かあった？」

「あ、ラウくん。ちょっとね。心配ないから！」

必死だった私は返事もそこそこにまたラウくんの横を駆け抜ける。

指定された部屋に飛び込むと、メイクさんがいた。

「いらっしゃい、Aちゃん。早く着替えちゃって。」

姉御のようなメイクさんに急かされ、袖を通す。

紺色の羽織を着ると、完成だった。

「はい、そこ座って。かんざし付けるからね。」

「えっと、」

「A、着替えたか？」

「は、はい！」

返事をすると滝沢さんが入ってくる。

「A、今日、お前の出番を一つだけ作った。」

「出番、ですか。」

「うん。この演出ははじめからずっと決めていた。」

「･･･嬉しいです。」

見せられた企画書が少し滲む。

仲間になれるんだ。1度だけでも、私は。

" 花鳥風月歌唱:未沢A "

私は、姿は見せずに歌うだけなんだ。

「未沢には、総踊りに参加してもらう。歌と、ダンスでな。」

「へ？」

また間抜けな声が出た。