Snow Shine【2】 (ページ18)

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66. / You ページ18

「最近はどう？」

「幸せです。」

咄嗟にでてきた最上級の言葉に、シゲアキさんは微笑んだ。

そして私の頭にそっと手を乗せる。

柔らかくて、暖かくて。

「無理していく必要ないよ。」

「怖いんだろ。」

図星をついてきた。

顔を俯かせ、なんとも返事ができない。

「A。」

身じろぎもしない私に対し、シゲアキさんは語りかけた。

「これから人生にはたくさんの大きな選択がある。置いていかれることなんて、たくさんある。」

「望んでいないこと、後悔してしまうこと、きっとたくさんある。でも、」

「Aはたくさん経験してるだろ。だから、大丈夫。」

「信じる方向に進めばいいよ。」

シゲアキさんの吸い込まれそうな瞳を見た。

やっぱり私の最大の恩師はこの人だ。

・

「置いていかれるのは、辛いよな。」

「俺らと一緒に戦ってくれない？」

「歓迎するよ、A。伊月。」

・

タクシーに乗り込む。

病院名を告げた。

本当は最後まで行くつもりはなかった。

しかし、滝沢さんから呼び出しを食らった。

SnowManとしての私が軌道に乗り始め、

春の温かさがまだ続いている頃だった。

隣にいるのは同じ仕事をしていた蓮くん。

安心感と優しさを無条件でくれる彼は、

私の安らぎだった。

「大丈夫、A。震えてる。」

「何言ってんの。そんなわけないじゃん。」

「肌寒い？」

「ほんとに平気だから。」

こういう時に下手に強がる女は可愛くないんだろうな。

蓮くんはそれでも真摯で、私の肩に手を伸ばし、撫でてくれていた。

重かった空気がスっとして、救われた気がした。