Snow Shine【2】 (ページ2)

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「Aちゃん、次こっち手伝って！」

「みさっちゃん、その次こっちね！」

「はい！すぐ行きます。」

舞台本番1時間前。

現場は目が回るほど慌ただしい。

この忙しなさを演者ではなく、スタッフとして経験するのは久しぶりだった。

" 1日だけでもお手伝いに行きます "

そんな約束を滝沢くんと交わし、主演舞台の休演日を設けてもらった。

それは奇しくも滝沢歌舞伎の最終公演日だった。

演出に携わった身として、あらゆるものの確認に回らなくてはならない。

「せっかくAちゃんが来てくれてるもん、もっといいものに出来るでしょ。」

「ありがとうございます。頑張ります。」

自分の出演はない舞台の裏方をするのは新鮮であり、同時に、

「Aお疲れ様。」

「･･･深澤くん。」

負い目だった。

「どうしたの、改まった呼び方して。」

「いえ、久しぶりにお会いしたのでつい。」

「敬語も･･･」

「すみません、そろそろ行かないと。」

「あ、ああ。頑張って。」

「深澤くんこそ頑張ってください。見てますね。」

あくまでSnowManのメンバーのみんなは今は演者。

私は裏方に徹さなきゃいけない。

演出に拘わらせてもらっているだけで幸せなんだ。

「ごめん未沢さん、これ楽屋に運んでもらっていい？さっき帰ってきたの、急いで。」

「わかりました。」

渡された9つの桃色の羽衣。

滝沢歌舞伎オープニングの象徴。

「あとで桜も運ばなきゃ。」

自分の部屋はない楽屋に向かって歩く。

今みんなは本番前の準備中。

邪魔しないように行かなきゃ。

スタッフの間をすり抜け、滝沢さんの横を挨拶しながら通る。

楽屋に続く階段で、ラウくんと目黒くんが話し込んでいた。

「あ、Aちゃんだ。来てくれてたんだ！」

「お疲れ様。久しぶり。」

2人はすぐこっちに気づいて手を振ってくれる。

" 久しぶり "

そう言った目黒くんの言葉が少しチクリとした。