120話：夢 ページ28
財前総理が解放された
パパ…お父さんか…いいな…
その情報を聞き入れて中継を見てしばらくして眠りについた
_____________________________________
あたしは今、真っ暗なところに立っている
あたりを見渡すとある1点に白い光が見えた
それに触れるとある光景が広がった
ベッドを囲む20代前半の水縹色の髪の男性と2人の少女
その真ん中にいる20代前半の女性は力なくベッドに横たわっていた
「ねえお父さん、お母さんはいつ起きるの？」
水縹色の髪の少女が聞く
「ママは…ママはね、起きないんだよ」
男性は優しく答えた
しかしその声は震えていた
あれ？真っ暗になった…
またあたりを見渡す
また白い光が見えた
それに触れると今度は別の光景が広がった
部屋は汚く、ものが散乱している
机の上には何本もの酒瓶
飛び交う罵倒
少女の泣く声
「おい、そこのお前！とっとと新しい酒持ってこい！」
麦藁色の髪の少女が持っていく
「チッ、おせぇんだよ！言われたらさっさとやれクズが！」
男は少女を殴る
「お姉ちゃん…」
「大丈夫、あんたは私が守るから。ね」
「ガキのくせにごちゃごちゃ言ってんじゃねぇぞ。ほらチビ、そこの金でつまみ買ってこい」
「なっ…父さん、今何時だと…」
その瞬間、酒瓶が少女目がけて飛んできた
麦藁色の髪の少女の頭にぶつかりそれは割れる
「お姉ちゃん！！」
よく見るとその男と少女達はさっきまでベッドを囲んでいた家族だった
ああ、今度は何
あたしはあの最悪な父親の夢を見ているのか
姉ちゃん…
_______________________________________
朝の日がさして目を覚ます
A「あれ…」
泣いてる…
なんであんな夢で泣いてんの
すぐに拭いとり、窓の外に目をやる
A「国会議事堂？」
風丸「おはよ。塔子が総理に会いに行ってるんだよ」
風丸は気を遣って『お父さん』というワードを使わなかった
A「そっ…か…」
風丸「嫌な夢でもみたか？」
A「え？」
風丸「夜中泣いてたぞ」
A「あー、マジか。ちょっと嫌な夢みた」
風丸「そうか」
Aは窓の外に目をやる
そこには円堂、塔子、そして財前総理がいた
A「ねぇ風丸」
風丸「ん？」
A「あの人が塔子の父さん？」
風丸「！…そうだな」
A「あれが父さん…優しそうな人だね」
塔子と総理を見ているAが悲しい顔をしていて俺は見ていられず、顔を合わせずに「そうだな」と答えた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 14人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
希(プロフ) - 続きが気になるので２のパスワード教えて欲しいです！ (6月6日 15時) (
レス) id: 2137f6455a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：汐音 | 作成日時：2017年3月4日 3時
