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寂雷の詫び入れに、秋は慌てて両手を振った
「いえいえ、大丈夫です。忙しいと言っても独歩ほどではないので。独歩、今日よく来れたね」
興味がある、と言われても彼にとっては、さして嬉しいことではなかった。
＿どうせもう、二度と会わないだろう
学生時代から秋は第一印象がよく見られがちで初対面の者から声をかけられることは多かった。しかし付き合っていく内に自分があまり面白味のない、つまらない人間だということが次第に分かってしまうので暫くすると大抵の人間が離れていった
食べ飽きたガムを何気なく捨てるように、そういう経験を何度もしてきた彼はだんだんと人と接するのが億劫になり結局、友人が幼馴染み以外にほとんどいない人生を歩んで来たのだ
秋は独歩に話を振り、寂雷の注意を彼に向ける
「今日はハゲ課長が胃腸炎で休みだったんだよ。そんで定時帰宅。ざまあみろ」
彼は酔いが回っているのかいつもより口が悪い。あんまり酔うと帰りが面倒だな、と思い秋は酒とお冷をそっと入れ替えた
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作者名：多田野 | 作者ホームページ：http://twitter.com/tada_tada_dream
作成日時：2019年4月21日 22時
