EVER BLUE -Beginning story- (ページ46)

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今日二度目の屋上

一緒に来た志乃ちゃんは、表情が曇っている
　

　

「どうしたの志乃ちゃん？」

志「…あのね、」
　

　

志「これを言ったら、きっとAは私のこと嫌いになると思うの」

「…え？」

志「でもこのまま黙ってるのも、もうつらくて」

「志乃ちゃん何言ってるの？」

　

志「匠海に告白されたの」

　

　

その言葉を聞いた瞬間

私は海の中に落ちていくような感覚だった

　

　

志「小笠原くんにフラれてから、匠海ずっと私の話聞いてくれて」

　

　

志「よく2人で出かけるようになって、それで…2年の終わりに、告白されて」

　

　

志乃ちゃんの声が、遠く聞こえて

　

聞きたくない

そう思ってしまう

　

　

「…志乃ちゃんは、返事したの？」

志「…まだ。でも、」

　

　

その“でも”の続きは

なんとなくわかってしまう

　

　

志「心のどこかで、ずっと気になってた」

　

　

志「つらい時、ずっとそばにいてくれたから」

　

志「匠海のこと…今はまだ好きじゃないけど、好きになってみようかなって」

　

　

これを聞いて、私はどうすればいいのか

誰か、教えて。

　

　

志「ごめんね…本当に。」

「どうして志乃ちゃんが謝るの…？」

志「っほんと、ごめん…」
　

　

そう言って涙を流した志乃ちゃん

そんな志乃ちゃんを私は責めることが出来ない

　

　

「…そっか、うん。仕方ないよ」

　

　

だって匠海くんは

志乃ちゃんを選んだんだから。

　

それをとやかく言う筋合いは、全くないんだ。

　

　

「こんなこと、私から言われてもうれしくないと思うけど」
　

　

「おめでとう」

　

　

願ってもないことなのに

自分は散々傷ついてるくせに

　

　

それでも志乃ちゃんに笑ったのはきっと

　

志乃ちゃんだけではなく

　

匠海くんにも、好きな人と一緒になってほしい

　

そう、思えたからだ。

　

　

― Beginning Story ・ END ―

　

　

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