EVER BLUE -Beginning story- (ページ13)

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匠「え、えっ！」

「ごめ…っ」

匠「俺なんか悪いこと言っちゃった、？」

「ちがう、そうじゃなくて…」
　

　

突然泣く私に動揺する彼は

ズボンのポケットからハンドタオルを取り出し、私に差し出した。

　

　

「…ありがと」

　

　

涙をそれで拭うと、そのタオルからいい匂いをした

　

　

匠「落ち着いた？」

「…うん、」

匠「戻ろ？みんな心配してる」

　

　

そういって自然に手を取られた

　

　

その瞬間

身体の奥の方がじんわりと温かくなっていくのがわかった

　

繋がれた右手に神経が集中して、

　

　

手汗かいてないかな

震えてないかな
　

　

なんてばかり考えてしまう。

　

　

大丈夫、大丈夫って言うように
ゆっくり歩いてくれた

　

迎えにきてくれたのが、彼でよかったと心から思った
　

　

それから、みんなとやっと会えて

すごくすごく心配されてしまった

　

　

私はみんなに謝ると

　

　

匠「よかった、本当に無事で」

　

　

彼はそう、笑った

　

今思えばもうこの時から彼のことを好きだった

　

　

優しくて、笑顔がまぶしくて

こんな素敵な人と恋が出来たらな…なんて

　

　

本気で思っていた

　

　

でも私も、匠海くんも

ここにいるみんなも
　

　

まだここにはいない彼も

これから起こることなんて、誰もわかっていなかった

　

　

この青い空が、青春が

が楽しくて、苦しいことを教えてくれるなんて。

　

　

*