・12・ ページ12
*
大きなトラックが停まってるから
たぶん関係者用の駐車場なんだろうけど
辺りを見渡しても、入り口はどこにも見えない
「っそうだ、携帯」
スマホを見ると、ちょうど充電が切れた
しかも最悪のタイミングで雨も降ってきて、
とりあえず車庫の屋根に隠れた
ドラマでこういうシーンよくあるよな
こういう時ってだいたい好きな人が助けてくれるんだけど
私好きな人いないし…
「…最悪だ」
自分の情けさなに嫌気がさしてその場でしゃがみこんだ
いつもこうだ
昔から、
楽しいことがあるとそのあとがうまくいかなくなる
“言いたいことがあるならちゃんと言わないと”
雨は嫌いだ
嫌なことを思い出す
早くみんなのところ戻らなきゃ
立ち上がろうとした、その時
遠くから足音が聞こえてきた
従業員の人かな
怒られちゃうかな
足音がどんどん近づいてくるのが怖かった
匠「あ…いた、」
雨音で消されかけた綺麗な声
北村くんだった
傘を持った北村くんが、来た。
匠「大丈夫、？」
「う、ん」
匠「連絡つかないって聞いて、みんなで探してたんだ」
「なんで？」
匠「えっ？」
「なんでここってわかったの、？」
別にそんなこと聞いたってどうにかなるわけじゃないんだけど
こんな広い水族館の中ここを探しに来るって考えつかない
匠「なんとなく、ここかなって」
「…え、」
匠「方向音痴って聞いて、行くはずもないとこにいるんじゃないかなって…」
と小さく笑った北村くんを見て
なぜか涙が出た
なんでかはわからないけど
どんどんあふれてきた
*
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 239人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まぐろ | 作成日時：2018年6月10日 14時
