1st 私のカウンセラー【utit】【srr】

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注意:少々嘔吐表現あり

ハッと我に返ると自室に戻ってから10分が経っていた

そこで鈍い痛みを感じ腕を見ると、誤って爪で引っ掻いてしまったのであろう部分から血が出てしまっていることに気づく

周りに気づかれないために血は流さないよう最大の注意をはらっていたのに、と少し反省した

早く手当てしなきゃ、と思いつつも放心状態で体は思うように動かない

それにしても、今日の溺愛ぶり一段と酷かった気がするが大丈夫だろうかと回らない頭で考えていると

弟が扉から少し顔を出しながら

「姉ちゃん...？大丈夫...？」

『成瀬？いいよ、入って』

遠慮した様子で部屋に入ってくると、血が出ているのが見えたのか今度は心配そうな顔で

「手当て手伝うよ」

『ううん、大丈夫自分でやるから』

と、慣れたように消毒をして絆創膏を貼り彼に向き合う

『終わったよ、おいで？』

と彼が求めているであろう行動をしてあげる

「姉ちゃん、本当にごめん」

『何が？何も悪いことしてないんだから謝る必要なんて何も無いよ』

そう、彼は何も悪くない

「でも...」

『ほーら、おいで？疲れちゃったでしょ？』

すると弟は私にしがみつき

「俺、俺もうやだよ...

なんでこんな思いしなきゃいけないの

気持ちわりぃ、吐きそうだ」

と声を押し殺して大粒の涙を流しながら話した

『よしよし、大丈夫だよ

吐きたかったらここにあるからね

成瀬は何も悪くないよ』

と言うと、先程の夕食であろう吐瀉物がゴミ箱に流れ込む

酸っぱい匂いがして、私も吐きそうになってしまうのをなんとか抑える

『よしよし、大丈夫大丈夫』

と自分にも言い聞かせるように繰り返した



「俺は、もう姉ちゃんに傷ついて欲しくない...」

『私は大丈夫だから、自分の心配してあげな？』

「姉ちゃん...」


心の奥底では愛されている君が少しだけ羨ましいと思うの、と言ったらどんな反応するだろうか

なんて、そんなこと本気で苦しんでる人に言えるわけない


でも、それなら私のこの苦しみは自分を痛みつける行為でしか発散されないのだろうか

誰にも打ち明けることができず、ずっと1人で暗闇に閉じこもることしかできないのか


ぐるぐると悪い方向へと思考が飛んでいき、呼吸が少しづつ浅くなってくる

じわじわと闇に侵されていく脳内に、さらに苦しくなっていく呼吸

視界が狭まり、ガンガンと頭が痛くなってくる


＿＿「姉ちゃん...？姉ちゃんｯｯ！」

と微かに聞こえる声とともに意識を手放した

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