Citrus#145 ページ10
天井を突き破って空に飛び出した男は待ち構えていた焦凍君たちによって捕まえられた。
私も頬村を連れて瓦礫から抜け出す。
『頬村、君は…あの人…爆心地に何を植え付けたの』
今でも夢に出てくる。
別れた時の言葉とあの顔が。
あの時”バレたら危ねぇもんな”と言って私を突き放した。
そして離れていく私を見て一瞬我に返った。
それがあなたが経験した記憶を植え付けたものだとしたら。
『きみこそ寂しかったんじゃない？』
「…さあね。言っただろう、抜いた記憶はなくなるんだ」
だったらなぜ自嘲しているんだろう。
彼がパトカーで連れてかれた今真相を知ることはできないし知ったところで意味もない。
『…ぐっ、』
「A！」
「おい大丈夫か？！」
無茶した戦いの余波が今頃やってきて膝から崩れ落ちるのを支えられる。
『二人とも…』
「また無茶したやろ！右足捻っとるやないか！」
「骨は逝ってないか？内臓は？」
『そこまで重症じゃないよ…でもちょっと疲れた、』
体が重いし頭も回らない。
「いくぞ」
「いざ病院！」
『えぇ〜…』
一度病院に連れて行かれて検査されると右足の捻挫だけでなく腕の骨にヒビが入ってたらしい。
無茶な重力のかけ方したからなぁと思いつつお風呂に入って家のベッドに入る。
入らないと二人が無理にでもベッドに入れようとしてくるからしぶしぶ入ったけれど疲れもあってすぐに眠りにつく。
久々に見たのは本当のお母さんとお父さんが私と手をつないでいる夢だった。
『…ん、』
「起きたか」
『焦凍君…今何時？』
「まだ4時間ぐらいしか経ってねぇよ」
『いい匂いがする…』
「今麗日がなんか食いもん作ってる。豪華にするから待っとけって」
『そっかぁ…』
今回の件はこの二人がMVP。
本当にお世話になりっぱなしで私の中のワンツートップヒーローだ。
私と共に寝ていたのか整った顔がうとうとしている。
『ふふっ…焦凍君ありがとう、それとごめんなさい』
「なにがだ？」
『焦凍君、いつか私のこと好きって言ってくれたけれど私はそうじゃないから』
「…」
『10年も経ってるのに変だよね、でもこのベクトルだけは私じゃどうしようもないみたい』
「それは嫌ってほど知ってるしお前がそう答えるのも知ってた」
『…優しい人だね』
この二人がかけてくれる優しさを無駄にしたくない。10年前にケリをつけよう。
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めぐ - 翠蒼さん» 最近この作品好きになりました。作者さんは、やめてしまったのでしょうか、作者さんの、ページなのが見つかりません。知っている方がいれば、教えてください。 (2020年6月26日 1時) (
レス) id: b98234d0b1 (このIDを非表示/違反報告)
翠蒼(プロフ) - 三城さん» コメントありがとうございます！励みになります(^ ^) これからもよろしくお願いしまぁぁあぁす！ (2018年7月27日 12時) (レス) id: d7b61196d7 (このIDを非表示/違反報告)
三城(プロフ) - うわあああ好きです！！最高すぎます！一番好きです！これからも頑張ってください！ (2018年7月27日 12時) (レス) id: af63a856f3 (このIDを非表示/違反報告)
翠蒼(プロフ) - ぶつくんさん» コメントありがとうございます！本当にカメ以下の遅さで更新していきますがよろしくお願いしまぁぁす！！ (2018年6月26日 5時) (レス) id: f60166fdd2 (このIDを非表示/違反報告)
翠蒼(プロフ) - 眼帯系生物さん» コメントありがとうございます！そこまで興奮していただいて嬉しい限りです！！ (2018年6月26日 5時) (レス) id: f60166fdd2 (このIDを非表示/違反報告)
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