Citrus#55 ページ12
『いっ…！』
掴まれていた腕を乱暴に教室に投げられる。
…うん、あえての空き教室をチョイスするとこね。みみっちいわぁ。
ま、あの場で壁ドンされるよりはマシか。
「おいテメェ」
『うわぁ』
「あ”あ？！！」
ありゃしまった。あんまりにもばくごー君の顔が凶器染みてて本音が。
「…おい」
いつものようにゆらりと歩いてくる。…んん、既視感。
あの時の恐怖が蘇りそう。
『えっ、え、あの』
ばくごー君が近寄るたびに慌てて後ろにずりずりと下がるけどもうすぐ壁だ。
『…や、こないで』
そう言うとピタリとばくごー君が止まった。時間でも止まるように。
風で硬そうな髪がふわふわと揺れてるだけ。
…あ、あれ？
「嫌か」
『え？』
「俺に近づかれるのが嫌か」
そうか。
私は”守る守られる”ということだけを考えて人を傷つけていたんだ。
身近な人、しかも好きな人。
『…ごめん』
最低なのはどっちだ。
「俺はテメェのなりてぇっつーヒーローを理解してるつもりだ、矢水」
1ヶ月聞いてなかった矢水を聞いてビクッとする。
「あのなぁ俺はお前なんか守らねぇよメンドクセェし…あと十分強ぇだろ」
『…うん』
「テメェは俺の隣でヘラヘラ笑って飴みてぇに甘ければいいんだよ」
『ん』
「…っし、」
『ん？』
いきなり動いたかと思うとさっきと違いスタスタと潔く私の方に向かってきた。
「もういいよなぁ？」
『…ん？え？待て待て』
「さっきのは近づいてもいいっつーことだろ」
『いやそれとこれとは』
そして壁ドンアゲイン。
この間みたいに顔はそこまで近くないけれどこの身長差でその目力はほんと怖い。
「あ”？文句あんのかよ」
『ナイデス』
でも鼓動が早くて大きいのは恐怖より多分少女漫画特有のアレだ。
ああいうドキドキだこれは。
『ばくごー君』
背伸びして髪に触れるとちょっと驚いてビクッとなったのに退かない。
『ばくごー君がどんなに素直じゃなくても暴言吐いてても好きなんだよ』
確かにみみっちくて器が小さくて自尊心の塊で手に負えない時もあるけれど。
『私はキミのいいとこ知ってるもん』
「…はっ、そうかよ」
ばくごー君の「帰る」の一言でちょっと後ろをついていくとすごい目で見られた。
『はいはい』
隣に並ぶと足並みをそろえてくれる。そこもまたいいとこ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 327人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
翠蒼(プロフ) - エリカさん» 面白いと言っていただけて光栄です！更新できる限りガンガンしていくのでよろしくお願いします(^ ^) (2017年6月26日 23時) (
レス) id: 192907da57 (このIDを非表示/違反報告)
翠蒼(プロフ) - 遥燈さん» アァァ！！！コメントありがとうございます！本当に励みになります＾V＾ (2017年6月26日 23時) (レス) id: 192907da57 (このIDを非表示/違反報告)
エリカ(プロフ) - やばいです。このお話面白すぎます。ほんと好きです。更新されるのを楽しみに待っています！！これからも頑張ってくださいっ！（≧∇≦） (2017年6月25日 20時) (レス) id: 720530e6d1 (このIDを非表示/違反報告)
遥燈(プロフ) - めっちゃこの話好きです。更新楽しみにしてます。頑張れ！！ (2017年6月25日 11時) (レス) id: af6572da72 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：翠蒼 | 作成日時：2017年6月24日 6時
