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一人宗介の実家まで靴が影を踏むのを見ながら歩く。
宗介が駅まで送ると言ってくれたけど断った。
今の私たち、少なくとも私は恋人同士になれない。
「お、Aちゃん！おかえり」
「数馬さん、」
お店の方の引き戸を開ければ、宗介のいとこの数馬さんが山崎夫婦と厨房に立っていた。
「賄い、食うか？夕飯まだだろ」
「食べます！ありがとうございます」
「腹減ったらいつでも言ってくれよ」
数馬さんの美味しい賄い飯を逃すわけがない。
二つ返事を返すと宗介より深い緑でつり気味の片目が閉じる。
数馬さんは髪の色もこげ茶でこういうところを含めて宗介にはあんまり似てない。
「宗介は相変わらずだったか」
「まぁ」
宗介は小さい頃から数馬さんにだけは頼る。
まるで本当の兄弟のようで、宗介が数兄ぃなんて呼ぶくらいだ。
一番歳が近い親戚だったというのもあるけれど、数馬さんのどこかあっけらかんとしながらもちゃんと人のことを考えているからだろう。
困った人だと笑えば数馬さんもそうだな、と笑う。
「それで、Aちゃんは？」
「え？」
「なんかあったんだろ」
何も考えてないようで核心をついてくるところと笑い方は宗介に似ている。そのせいか私も妙にこの人には相談することが多い。
経験の多さとこの人の本来の性格が相まって人を安心させてくれる。
「…私は中学で競泳を辞めました。でも今凛と宗介に戻ってこいと言われて揺らいでいます。あの決断に後悔はなかったつもりなのに、」
「そうか…そら難しいな」
「自分で決めたのに…おかしいですよね、」
自嘲するように笑えば数馬さんにそれは違うと否定された。
「そう思うのに無理はねぇ、その時と状況が違うんだから。ただ、可能性があるならやってみればいいんじゃねぇか？」
可能性。自分で破り捨てた夢へのチケットを再発行できるのか。それが有効なのか。誰もわからないけれど絶対0%ではない。
「勝ち負けの世界ってのは俺はよくわからねぇが、一歩踏み出すのは最初は怖ぇのは知ってる」
怖い、本当に怖い。ましてやアスリートという常に怪我のリスクと才能の限界と隣り合わせの世界。
「Aちゃん、自分を信じろ。それで背中を押してくれる奴らがいるってことも忘れるな。落ち込んだらそいつらが支えてくれる」
大きな手のぬくもりが背中を通して伝わってくる。愛しい熱に似たものが緊張の糸を溶かすと不安の涙がどっと溢れでた。
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置物娘OLDCODEXにハマりかけ(プロフ) - いえ、とても面白かったです！ (2018年12月22日 11時) (
レス) id: 07cbb82d44 (このIDを非表示/違反報告)
翠蒼(プロフ) - お久しぶりです！グダグダになるかもしれませんが最後までお付き合いください！ (2018年12月22日 2時) (レス) id: 8de9e0189a (このIDを非表示/違反報告)
置物娘OLDCODEXにハマりかけ(プロフ) - お久しぶりです。小説面白かったです！主人公ちゃんが今後、宗介とどう歩むのか気になります (2018年12月21日 16時) (レス) id: 07cbb82d44 (このIDを非表示/違反報告)
翠蒼(プロフ) - Miyuckyさん» こちらこそ初めまして！応援ありがとうございます( ´ ▽ ` )ﾉ更新に波はありますが、最後まで頑張ります！これからもよろしくお願いいたします！！ (2018年8月3日 7時) (レス) id: d7b61196d7 (このIDを非表示/違反報告)
Miyucky(プロフ) - 初めまして！いつも陰ながら応援させて頂いてます！本当毎日読むのが楽しみで、(あ、今日話数多い！)とか、(あ、今日は更新ない...)と、1人で画面に一喜一憂しています。(笑)楽しみにしてるので、これからも頑張ってください！！ (2018年8月3日 0時) (レス) id: 2a420235d5 (このIDを非表示/違反報告)
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