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50 正 ページ5

夏目視点


塔子さんに挨拶をして、二階へ行く。

「先生、あの人に名前を返してもいいだろうか。」

先生が耳を動かす。

「どうしてそんなことを聞くんだ。

お前は自分で決めた筈だろう。」

先生が、座布団を引っ張り出しながら言った。

確かに、自分でAさんに名前を返そうと、決

めた。

でも、あの人の眼を見ていると返してもいいのか

と、不安になった。

Aさんの眼は、とても不思議な雰囲気を持っ

ている。

いつもあの人は笑っている。

なのに、いつも眼だけは悲しそうに澄んでいる。

「なに、お前が正しいと思ったことをすれば良い。

彼奴も、お前に判断を任せたんだぞ。

だから、お前が決めることだ。

どちらを選んでも、奴は笑って受け入れるだろう。

人の気持ちを知ることなんて出来ない。

だから、奴の気持ちなんて分からない。

他人に合わせるな、夏目。

自分の選んだ道を行け。」

先生はあくびをしながら、俺に言った。

正論だと思う。

俺が決めなきゃ、始まらない。

俺は、先生に聞いた。

「先生。もし俺が判断を間違ったとして、先生は止

めてくれるか?」

俺は、間違えるのが怖かったのかもしれない。

「ワタシは面倒なことはやらん。

ただな、夏目。正しく在ろうとするな。

正しい選択なんて、判断なんてないのだから。

お前が正しいと思ったならば、ワタシは止めん。」

先生はそう言って、座布団の上に丸まった。

俺は迷ってばかりだ。

でも、今度こそ覚悟は決まった。

「……俺は、名前を変えそうと思う。」

「……そうか。」

先生は、ポツリと呟いた。

いずれ来る、全ての別れ。

きっと、いつまでも慣れることは出来ない。

だから俺は、今、自分に出来ることをやってみよう

と思う。

いつか必ず来る別れが、少しでも、寂しくない様

に。

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設定タグ:夏目友人帳 , 男主   
作品ジャンル:アニメ
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ここ - とっても面白かったです!ものすごく好みの小説でした!更新待ってます!頑張ってください! (2018年10月6日 22時) (レス) id: 13a4e8f4bd (このIDを非表示/違反報告)
トロみん(プロフ) - しろさん» 返信遅れてごめんなさい!はじめまして。ご感想ありがとうございます。面白いと言っていただけてとても嬉しいです!これからもよろしくお願いします! (2018年1月4日 18時) (レス) id: 2ab5f6701b (このIDを非表示/違反報告)
しろ - 面白かったです!更新頑張って下さい! (2018年1月3日 21時) (レス) id: ffc28e1826 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:トロみん | 作成日時:2017年12月31日 9時

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