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32 界 ページ33
夏目視点
相変わらず、無音の世界が続く。
歩けば歩くほど不安が募り、足が重くなっていくの
が分かった。
そんな俺と対照的に、Aさんが穏やかに微笑
む。
こんな世界に《閉じ込められて》、どうしてそんな
に穏やかに笑えるのだろう。
ガラスの様な囲いに覆われた、無慈悲な程に美し
く、残酷なこの世界。
外の世界とはまるで違う、物語の様な世界。
とても儚いあの夢は、この優美で残酷なこの世界を
映し出していたのだろう。
…それはきっと、優しい神様が見せた、儚い夢。
徐々に息が苦しくなってきた。
足も少しずつ、動かなくなる。
Aさんと、ニャンコ先生が遠くなっていく。
次の瞬間、視界が真っ黒になった。
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作者名：トロみん | 作成日時：2017年4月22日 0時
