【夏目友人帳】桜舞う頃に (ページ28)

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27 灯火注意描写ありページ28

夢主視点

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注意！
この先流血描写、死亡描写があります。
違う言葉に出来るだけ置き換えていますが、
苦手な方は、お気を付け下さい。
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報告を受け、現場へ駆けつけた時にはもう全てが手

遅れだった。

立派な屋敷があった場所には、焼けた跡が残ってい

るだけ。

…私を照らす夕日が、怖いぐらいに赤かった。

辺り一帯、赤。赤。赤。赤。

全てが、私の周り全てが、赤かった。

まるで、季節外れの彼岸花が咲いているかの様に。

色々なモノが散らばる。

現場は、悲惨だった。

急いで、姫君を捜す。

彼女はまだ5歳だ。

一人になって、泣いているかもしれない。

早く見つけなければ。

私が側に居なければ。

彼女は、屋敷の側で横たわっていた。

急いで駆けつけると、まだ息があった。

しかし、それと同時に、残されている時間はあと僅

かだと言う事を悟った。

「来ちゃ駄目でしょう…。」

今にも消えそうな声に、耳を傾ける。

「ねえ、もう桜が散ってるの。

この前咲いたばかりなのに…。

でもね…、とても綺麗だった…。

私も、あんな風に潔く散れたら…。」

「生」には目もくれず、目の前にある「死」を確実

に見つめる小さな我が主人の悲痛な願い。

胸が、張り裂けるぐらい痛かった。

私は、喉から言葉を、声を絞り出す。

「…安心して、眠りなさい。

その時まで私は側に、ずっと側にいるから。」

その身体の抱きかかえ、頭を撫でる。

大切な者との別れを惜しむように。

「ありがとう…。

貴方に出会えてよかった…。

…お休みなさい。『春弥彦』

大好きだよ…。」

小さな命の灯火が、桜の花びらと共に空へと溶けて

いった。