【夏目友人帳】桜舞う頃に (ページ27)

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夢主視点

もう、夜も更けた。

月はようやく顔を出したが、私は社の中に入ってし

まった。

そろそろ寝ようかと思い、布団の中に入る。

私は人から神になった者なので、どちらかという

と、人に近い生活をしている。

だから寝て夢も見るし、朝と夜に食事もする。

ああ、まぶたが重い…。

昔々、それはまだ武士よりも貴族の方が偉かった時

代。

私は、とある貴族の家臣だった。

そう言ったら聞こえは良いが、実際には、まだ小さ

い姫君の子守を任されていた。

『何かあった時には、姫君を殺してでも秘密を守

れ。御家を守れ。』

上のお偉いさんには、そう言われていた。

監視係と言った方が良いかもしれない。

昔は、女や子供は物扱いだった。

…時代の変わり目。貴族の時代から、武士の時代へ

と変わる時代。

私が仕えていた貴族一族は、歴史の表舞台から引き

ずり降ろされた。

戦に負けたのだ。

貴族の関係者は、色々な方法でこの世界からいなく

なる。

例え、女や子供でも彼奴らは容赦しない。

髪を引っ張り、首を掴み、何も感情のない目で、冷

たい鋼でとどめを刺す。

またある者は、夕日よりも真っ赤な炎で真っ白な骨

になるまでずっと、ずっと焼かれる。

私の小さな主人も、例外ではなかった。