【夏目友人帳】桜舞う頃に (ページ3)

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夢主視点

昼のニュースが流れる。

すぐそこまで春は来ているのに、この社の近くの桜

のつぼみはまだ膨らんですらいない。

でも、もうすぐ春だという事実に心は弾む。

あと一ヶ月でこの近くの桜も咲くだろう。

今からとても楽しみだ。

期待に胸を膨らませながら着けている面の手入れを

する。

天の神様からもらった不思議な面。

なんとこの面を着けると、別人の顔になれるのだ。

それに着けながら普通の人と話すことも、食事をと

ることも、寝ることも出来る。

別人の顔になれて、しかも日常生活に支障がないの

だから、便利に見えるかもしれない。

…でも、この面は罪人の証だ。

どんなに望んでも面は取れない。

鏡に映っているのは、自分の顔ではない。

この顔は、本当の自分の顔ではないと打ち明けても

大切な人にすら面の下の顔は見せられない。

そんな罪の意識に苛まれながら生きていかなければ

ならない。ずっと、ずっと。

罪が許されるその日まで。

また考え事をしていたようだ。

窓から入る春風が微かな心地良い花の香りを運ぶ。

さて、今日はどこまで行こうか。