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17 儚い ページ18
夏目視点
その夜、不思議な夢を見た。
大きな桜の木の下で、一人の男性が誰かを待ってい
るように佇んでいる夢。
たなびく着物がその切なさをより一層引き立てる。
桜は、次々と咲いては散っていく。
その世界はどんなに手を伸ばしても、絶対に手には
入らない。
そこには、硝子のような、透明で寂しい冷たさがあ
った。
…触ってはいけない。
触ってはしまったら、音を立てて壊れてしまうよう
な、儚い夢。
それはまるで、巻物から出て来た優美な世界。
…どこか寂しさが残る、夢だった。
窓から朝日が差し込む。
あの人は流れる時を眺めながら、ずっと孤独に待っ
ているのだろうか。
語り尽くせぬ想いを抱いて。
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作者名：トロみん | 作成日時：2017年4月22日 0時
