【夏目友人帳】桜舞う頃に (ページ13)

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夏目視点

「《孝》。

《祖先を尊重して、目標や考えを受け継ぎ》、

《志》。

《心の向かうところを目指す》か…。

良い名前だね、夏目君。」

Aさんは、強く頷いている。

確かにそれはそれで良い名前だと思った。

でもやはり、違和感がある。

俺は曖昧に笑った。

しばらくして、Aさんは俺に向き合い、

「夏目君。申し訳なかった。

勝手に家に入ってしまって。」

と、正座をして謝ってくれた。

「大丈夫ですよ。でも、少し驚きました。」

「今度からは気を付けるよ。

本当に済まなかった。あ、これ手土産です。」

Aさんが持って来てくれた手土産に食いつい

たのはニャンコ先生だった。

「七辻屋のまんじゅう…！」

先生は箱を開け、勢いよくまんじゅうを頬張る。

そして、ニャンコ先生がまんじゅうを食べるのを見

届けたAさんが立ち上がった。

「私はそろそろお暇するよ。

もう、家の人が帰って来そうだしね。

今日はありがとう。また今度、ゆっくり来るよ。」

そう行って、今度はゆっくりと、玄関から帰って行

った。