弱さ2 ページ46
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「…………なんで泣いてんの、」
『……っ、』
笑顔どころか、薄暗い部屋の中で、モニターの明かりがAの頬を伝う涙を照らして。
『……違うの、
………相変わらず、翔太の交差点好きだなって思っただけ……』
「……っ、」
『ごめん、気にしないで……、』
……Aの心、そんな風に動かせてもしょうがねぇのに。
つい堪えきれずに、俯いたその頭を抱えるように抱き寄せれば、俺の胸に静かに体を預けるA。
『……わたし今でも大好きだよ、翔太の歌』
「……うん、」
『……あの頃から、ずっとずっと変わらずに大好き』
「……うん、」
『……落ち着くの、翔太の声』
「…………うん、」
『………………なんかもう、疲れちゃったな』
「A……」
その言葉の意味をどう捉えるのが正解なのかなんて分からなかったけど、もう今この瞬間、Aを放っておけるほど俺も強くなんてなかった。
「……分かったから、泣くなって……」
少しだけ体を離してその頬を伝う涙を親指で拭えば、俺を見上げたAと目が合って。
その涙で濡れた瞳に吸い寄せられるように顔を近付けた俺に、Aは長い睫毛をゆっくりと伏せた。
…………そのままその綺麗な唇にそっと落とした俺のキスをただ黙って受け入れたAは、この数週間で一体どれだけ弱ってしまったんだろう。
「A…………うち、来る?」
その言葉に含まれてる意味が分からないほどAも子供じゃないのに。
『…………うん、』って静かに頷いたAの唇にもう一度俺のを重ねれば、今度のそれはすぐには離れず、角度を変えて何度も何度も重なり合った…………。
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すかる(プロフ) - ひろかずみつすけさん» →思います。曖昧なお返事ですみません。コメントとても嬉しかったです! (2022年11月15日 20時) (レス) id: a4205199bd (このIDを非表示/違反報告)
すかる(プロフ) - ひろかずみつすけさん» 読んでくださり、またコメントまでありがとうございます。仕事が忙しくなり執筆を一度中断して以来同じように書ける自信がなくずっと更新しないままになっており大変申し訳ないです。続きは書かないと決めた訳では無いので、また更新されていたら読んでいただけたらと (2022年11月15日 20時) (レス) id: a4205199bd (このIDを非表示/違反報告)
ひろかずみつすけ(プロフ) - とっても面白かったです。続編はもう書かれないですか? (2022年11月15日 6時) (レス) id: d2c3399ce2 (このIDを非表示/違反報告)
すかる(プロフ) - reeeiiiさん» こんばんは、いつもご覧いただきありがとうございます> <!これからもギュッとしていただけるように頑張ります☆コメントありがとうございました!! (2021年3月5日 23時) (レス) id: adb2c5fada (このIDを非表示/違反報告)
reeeiii(プロフ) - こんばんは。いつも更新楽しみにさせていただいてます!胸がギュッとなってきました!次回更新も楽しみにしてます! (2021年3月5日 21時) (レス) id: f41e0f4c92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すかる | 作成日時:2021年1月22日 21時