懐かしさ ページ25
(A side)
いつもいつも、私は翔太に助けられてばっかりだな……。
久しぶりに来た、昔デートでよく使ってたカラオケ店。
久しぶりにこの個室で聴く翔太の歌声に、懐かしさを感じると共に何故かひどく安心してる自分がいた。
『……あーあ、悔しいけど落ち着くなあ、翔太の歌声』
「そりゃどーも。悔しいけど、は余計だけどな」
『あは、そっか』
「……ほら、お前も歌えよ」
『ん、』
翔太に端末を渡されて、何歌おうかなってランキングとか見てみたけど、目に留まるのは失恋ソングばっかりで。
そんなのばっかり選んでたら、「お前別に振られたわけじゃねーんだからさぁ」なんて呆れたような翔太の声。
だって仕方ないじゃん。
大ちゃんの由菜を見る目、愛しい人を見るそのもので。
……別にキスしてたのが辛かったんじゃない。
今までだって分かってたはずのその現実を、映像として目に焼き付けてしまったのが辛かったの。
『いいの、振られた気分だから』
「はぁ……好きにして」
相変わらず暗い声出しちゃう私に、溜息吐きながら「まぁ、お前のバラード好きだから別にいーけど」って小さく続けた翔太の台詞、
照れ臭くて聞こえないフリしちゃったけど、本当はすごく嬉しかったよ。
.
.
.
『ん〜〜っ、沢山歌ったぁ！』
「暫く歌う仕事なくて良かったな」
『はは、確かに』
気付いたら4時間くらい経っちゃって、軽くライブ状態。てか歌ってる時間で言ったらライブ以上。
昔から翔太とカラオケ来ると、楽しくて何時間でもいられたなあ、なんて懐かしくなった。
『……翔太、ありがとね』
「ん、」
翔太が連れ出してくれたお陰でだいぶ気持ち楽になったよ。って、そう伝えれば、静かにポンって頭に届いた翔太の手。
「……少し歩くか」
『うん、』
すっかり暗くなってしまった街を他愛もない話をしながら歩けば、ますますあの頃が懐かしくて。
隣を歩く翔太に、今はもう繋がれない私達の手に、
私達なんで別れちゃったんだっけ、なんて思ったのは弱ってるからだって信じたかった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 238人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
すかる(プロフ) - ひろかずみつすけさん» →思います。曖昧なお返事ですみません。コメントとても嬉しかったです！ (2022年11月15日 20時) (
レス) id: a4205199bd (このIDを非表示/違反報告)
すかる(プロフ) - ひろかずみつすけさん» 読んでくださり、またコメントまでありがとうございます。仕事が忙しくなり執筆を一度中断して以来同じように書ける自信がなくずっと更新しないままになっており大変申し訳ないです。続きは書かないと決めた訳では無いので、また更新されていたら読んでいただけたらと (2022年11月15日 20時) (レス) id: a4205199bd (このIDを非表示/違反報告)
ひろかずみつすけ(プロフ) - とっても面白かったです。続編はもう書かれないですか？ (2022年11月15日 6時) (レス) id: d2c3399ce2 (このIDを非表示/違反報告)
すかる(プロフ) - reeeiiiさん» こんばんは、いつもご覧いただきありがとうございます> <！これからもギュッとしていただけるように頑張ります☆コメントありがとうございました！！ (2021年3月5日 23時) (レス) id: adb2c5fada (このIDを非表示/違反報告)
reeeiii(プロフ) - こんばんは。いつも更新楽しみにさせていただいてます！胸がギュッとなってきました！次回更新も楽しみにしてます！ (2021年3月5日 21時) (レス) id: f41e0f4c92 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：すかる | 作成日時：2021年1月22日 21時
