一章『実力行使』 ページ14
中島君の入社試験が終わった翌日。
探偵社は束の間の休憩時間に浸っていた。
探偵社事務所のあるビルには様々なテナントが居る。
その一つが此処、喫茶店『うずまき』。
探偵社員行きつけの店で、良くこうして屯している。
今テーブルでは中島君、ナオミちゃん、谷崎君が座っており、
カウンターには私と太宰、国木田君が座っていて、それぞれ寛いでいた。
「あの時は本当に吃驚して…
真逆自分で押しちゃうなんて…」
「あはは、確かに
上向きに置いてあったのになんで下向きに!ってなるよね、アレ。」
「兎に角上手くいってよかったですわ。ね、らお兄様?」
「本当に良かったよ、改めて合格おめでとう、敦君。」
中島君は嬉しいともこの先が思いやられるともとれる表情した。
どうやら受かったのは良いものの、この先やっていけるかが不安のようだ。
「そういえば、皆さんは探偵社に入る前は何を?」
素朴な疑問に誰もが口を噤む。
それは後ろめたい過去があるからでは無く、
それも新人通過儀礼に含まれるからである。
中島君の顔に疑問符が浮かび上がると、
太宰が待ってましたと云わんばかりに口を開く。
「何してたと思う?」
「へ?」
中島君の口からは予想外の返答に気の抜けた声が漏れた。
「一種の通過儀礼のようなものよ。
新人は先輩の前職を中てる。探偵修行のようなものね」
「な、なるほど…。じゃあ…
谷崎さんと妹さんは____学生?」
中島君の回答はまさにドンピシャだった。
「おっ、中ッた。凄い」
「どうしてお分かりに?」
「ナオミさんは制服から見たまんま、
谷崎さんのほうも、歳が近そうだし勘で。」
中島君の観察眼は普通…あたり。
勘もいい方向に働いて中り。素質は有りそうだ。
孤児院では比較的まともな教育を受けられた事が伺える。
「やるねぇ。じゃあ国木田君は?」
「止せ、俺の前職など_____!」
「まぁまぁ、後輩の育成だと思って。」
国木田君はこの手の話題が嫌いで、
良く云えば過去を振り返らない。悪く云えば変なプライド持ちとも取れる。
国木田君の眉間に皺がよる。
「うーん、お役人さん?」
「惜しい。彼は元学校教諭だよ。数学の先生。」
「へえぇ!」
中島君から素直な感嘆の声聞いて更に眉間の皺が深まった。
「…昔の話だ、思い出したくもない。」
私も最初にそれを当てた時は様になるなぁって思ったんだっけ。懐かしいや。
「じゃあ、私は?」
「太宰さんは________、?」
この中でその答えを明確に知る者は二人。
太宰本人と____
7人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りノんと(プロフ) - むっくです!とても良かった!アニメ知らなくても楽しめた←応援してるよー! (2016年9月25日 16時) (レス) id: da89d499a4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:永月はんと | 作成日時:2016年9月11日 10時