世界はとまる２【ヒロアカ】 (ページ44)

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翌日の朝

待ち合わせ場所に行けば轟は既に来ていた

深くかぶったキャップの下から轟を見る

『おはよう。ごめん、待たせたね』

轟「おはよう。今来たところだ」

もう行くのかと尋ねれば轟は答えなかった

『轟？』

轟「…お前の私服姿、新鮮だな」

『あぁ、ごめんね、ラフな格好で。こんなんしか持っとらんくてね』

轟「いや、似合ってる」

『逆に他が似合わないんだわ。轟はね…うん、イメージ通りだね。何も思わんかった』

それはそれでどうなのかと思う轟だったが、お腹空いたと言うAによって話が変わった

病院に行く前に蕎麦屋に入った

『蕎麦好きなんやね』

轟「あぁ、好きだ」

大した会話もなく食事は進んだ

轟「…来てくれてありがとうな」

『うん、まだ終わっとらけど。緊張しとる？』

轟「…分かんねぇ」

『そっか。でもさ、自分が会いに行かなかっただけでしょ？お母さんは待っとるんやないかな』

轟「……。」

『会えるって凄い事だと思う。……自分はさ、待っても追いかけても会えないんだからさ』

轟「…そうなのか」

いつもの真顔で話していれば轟の顔が曇った

『あぁ、別に暗い話しやないよ。兎に角、私からすれば会えるのに躊躇するのはもったいなか』

轟「おう、そうだな」

本当に気にするは無いとニコッとAが笑えば、轟も微笑んだ

病院に着き看護師さんに部屋を尋ねた

轟と書かれたネームプレートがある部屋の前で立ち止まった

Aは病院に着いてからは黙ったままだ

轟「…行ってくる」

そう言うが、彼の手は震えて止まっていた

Aはそんな彼の背中に手を当てる

『ほら、お母さん待っとるよ』

彼の震えは止まり、背筋が伸びた

ゆっくりと扉を開け中に入って行く

轟「お母さん」

その声だけが聞こえ、扉は閉まった

もう大丈夫やね…

暫く閉まった扉を眺めていたが、段々と羨ましくなってしまった

轟にひと言だけ連絡を送り、病院を後にした