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「飽きたえ。わしは帰る」


天竜人の言葉がセレーナに届いた

天竜人達はゾロゾロと海軍を引き連れ遠ざかっていく

再び水槽に布がかぶせられ、天竜人の家来達が船へと水槽を運び出した


海が近づくにつれ、セレーナは鼓動が止まらなかった


『ママ…?…ドキドキしてるよ?』


セレーナはAを抱きしめる


『…??』

「A、海は自由なの」

『…うん…?』

「だからね、Aもママも自由に泳ぐの」

『自由に…?』

「ママはね、Aの事大好き」

『わたしもママ大好き!』


セレーナは伝えたい事が溢れ出していた

めちゃめちゃな会話だがAは嬉しそうに笑ってくれる


「大きくなったらとても美人になるんでしょうね…」

『ママみたいに大きくなれる?』

「貴女は誇り高きヤクシニーの血を引いてるからね」


片腕に収まる小さな我が子にキスを落とす


ガコン


船の下に着いたのか、揺れていた水槽が一旦止まった

直ぐそこに海がある


「A、ママが側にいなくても大丈夫?」


突然のセレーナの真剣な顔にAは眉を寄せる


『だ、大丈夫……だけど、側にいて欲しい…』

「…っ…ママはいつでもAの側に居る。ママはAの事世界で1番愛してる。これだけは忘れないで」

『…あいしてる…?』

「そう、愛してるわ」


セレーナはAの小さな手を包む


「これから何があっても真っ直ぐ泳ぐ。絶対に戻って来ないと約束してくれる?」

『どこを泳ぐの…?』

「海よ」

『うみ…ママも一緒?』


セレーナはもう一度Aを抱きしめた


「ごめんね」


そう呟いた


『…??』


次の瞬間、セレーナの全身が硬い鱗に覆われ、瞳がいつも以上に紅く燃え上がった


ガシャーーーンッ!!!!


ザパァァア


Aの知る小さな世界が一瞬で壊れた


『…ッッツ』


突然辺りから水がなくなりAの身体が悲鳴を上げる

一瞬失った空気が肺に入り込み、尾鰭が2つの足になる


『ゲホゲホ…』


咳き込みながら薄ら目を開ける

人間達が一斉に銃口をこちらに向けていた


人魚が暴れ出したぞォォ!!

バケモノだァア!!


見た事無い姿のセレーナにAは驚いた

どうしたのかと尋ねようとするが、人間達の声が一斉に頭の中へ流れ込み吐きそうになる

Aを抱き抱えながらセレーナは走った


セ「A!前だけを見ていなさい!」


いつもより大きく感じる母の腕の中で、顔を上げた



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ナナコ - 更新ありがとうございます!!! (2022年11月4日 23時) (レス) @page33 id: 9e2c3376df (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - たろ。さん» ありがとうございます!自分でも書きながら泣いてました(( 更新頑張ります! (2022年7月5日 23時) (レス) id: b79991d6ff (このIDを非表示/違反報告)
たろ。(プロフ) - ボロ泣きした、、、しあわせになって、、、更新待ってます (2022年7月2日 0時) (レス) @page11 id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - mithukoaaa0306さん» 読んで頂き有り難う御座います!本当申し訳ないです(涙)タイトルを検索に設定し、溜息part 10と検索して頂ければ出てくる筈なのでお手数ですが試してみて下さい! (2022年4月19日 21時) (レス) id: 1c05f583b2 (このIDを非表示/違反報告)
mithukoaaa0306(プロフ) - part10どうやって検索するんだろう……めちゃくちゃ続き読みたいのに見れない😭 (2022年4月19日 15時) (レス) @page1 id: 6f07583e5c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:げん | 作成日時:2021年9月15日 0時

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