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殴り合いをする2人を他所にAはリプライズを見つめた

スローがリターンを支えながら瓦礫に背を預けるように倒れる

血だらけで無ければ

双瞳に光が映れば

ヒーローで無ければ

寄り添う2人は極普通の夫婦だったのだろう


エ「ママっ!ママ!」


リターンの側で涙を流すエリ


リ「…大…丈夫よ」


エリを弱々しくも抱き締めるリターン


その光景が他人事のように見えた

手が 体が 視界が 震えた

流れる赤を止めたかったがAは躊躇した

自分が冷静なのか混乱しているのかすら分から無い

そんな状態でもし、自分の個性で2人の全てが止まってしまったら…

そんな不安が脳裏から体から離れなかった


ス「すまない…巻季…」

リ「疾留さん…いいの…大事なモノ…守れたわ…」

『…っ』


久々に聞いた、本名で呼び合う2人の声

側に居るだけで通じ合っている2人にAは眉を寄せた


自分には分からん…!


ス「A」

リ「Aちゃん」


自分の名を呼び両親は微笑んでいる


ねェ、何で笑っとるの?


側で泣き噦るエリが視界に入る


誰を守ったと?


リ「Aっ…どこにいるの…」


どこ見とると?


ス「A…すま…ん…ッ…」


何で謝ると?


フラフラとAは2人の間に行き、膝を着いた


『…ここに…おるよ』


小さく呟けば、母の弱弱しい掌が顔をゆっくり撫でる


リ「…A…ちゃん…笑ってないと……ダメ…よ?」

『笑っとる…ちゃんと見てよっ…』


悲痛な顔でリターンを見つめるA


ス「Aは…笑っとる…」

リ「疾留さん、ズルイわ…」


目が見えないリターンは嫉妬したようにムッとする

苦しい顔をしたスローと目が合う


ス「…っ……」


頭の上に大きなが置かれた

頬に触れた優しい手と強く頼りになる手

まだ暖かい2つの手が触れている

Aは其々に触れようと、震える重たい両手を持ち上げた


『…どこ…行くと…?』


そう問えば、2人は笑った


『…っ!』


2人の手から力が抜け、温もりが消えていく


ドサ


リプライズは停止した



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ツバキ(プロフ) - 面白すぎて一気見ました!!更新楽しみにしてます! (2023年3月14日 19時) (レス) id: 340cc653a8 (このIDを非表示/違反報告)
深_sin_(プロフ) - 面白くて一気に読んでしまいました!更新頑張ってください! (2020年12月3日 22時) (レス) id: c007f713c5 (このIDを非表示/違反報告)
スイ - 落ちホークスがいいです! (2020年9月4日 18時) (レス) id: 7468474ed4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっちゃん - 続きが楽しみです (2020年3月10日 19時) (レス) id: d3fe66276d (このIDを非表示/違反報告)
アンちゃん(プロフ) - 続き楽しみに待ってます!! (2020年3月7日 21時) (レス) id: ed87f9c1d8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年9月18日 0時

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