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いや、なんかこれだと私が悪女みたいじゃないか…。


断じて違う、あれはふりだ。態度で好意を表しているが、それ以外が読めない。ハニートラップと考えるのが妥当だろう。てか私、怪しまれてるのか?



「お待たせしました」
安室さんがハムサンドと紅茶を持ってきた。だが梓さんはおらず、明らかに安室さんが入れたであろう紅茶が前に置かれる。

『梓さんは?』
「梓さんは買い出しに言ったので」



『え〜、お店の買い出しって結構大変でしょう?女性に行かせたんですか〜?』
「あはは、買い忘れだけなのでご心配なく。それにこの時間帯は特に忙しくてね、一人で接客する方が大変だよ?」



『じゃあ、忙しいなら私達と無理して話さなくても良いですよ?』
「…そうですよね、すみません。つい、貴方ともっと話したくて…」
くっさい台詞を甘ったるい声で、静かにうつ向きながら呟いた。甘い、甘すぎる。


『はぁ…』
「あ、安室さんの紅茶も美味しいよ!?飲みなよ!」


『梓さんともっと話したかったなぁ』
「僕じゃ駄目なんですか?」
『全く違うじゃん…』
私がそう呟くのを最後に、数秒の沈黙が続く。女子の客の声たけがよく耳に届く。



「あ〜ハムサンド美味しいなぁ。流石安室さんですね!」
『それ安室さんが作ってたんだ』


「ええ、そうなんです。Aさんも一回食べませんか?」
『私、間食しない様にしてて』
「(だ、誰か助けて〜!!)」



「あ、Aちゃん!」
『お、蘭ちゃん!おひさ!江戸川君も』
そんな沈黙の中に、扉を開け真っ先に声をかけてきた。こいつが毛利蘭、工藤の幼馴染みだ。さっさと聞いて帰りたいけど。我慢、我慢。


「Aちゃん、心配してたんだよ?」
『えへへ、体は丈夫な方だから大丈夫!』


「連絡が無いしさ…」
『あ〜、それはごめん。携帯あんま使わないから…』


「確かに、あんたが触ってるのあんま見ないね」
『どっちかって言うと、パソコンの方が使うから。頭いい人みたいに、キーボードめちゃくちゃ早く打てるんだよ〜!』
「あ、はは」
私がキーボードを叩くように指を動かすと、苦笑い気味に見られた。


「あ、そうだ。工藤くんのこと知らない?最近きてないよね?」
『あっ、忘れてたわ』


「うちのクラスでも話題になっててさ、私らがかりだされたの」
『蘭ちゃんなら知ってるかな〜って』


「…知らないわよ!あんな奴」
毛利は工藤の名前を出した途端、怒ってそっぽを向いた。…となると幼馴染みにも連絡してないのか。

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作者名:佐々木紗季 | 作成日時:2019年5月2日 19時

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