EP79 ページ35
「…東雲？」
「あ…風丸くん」
作戦会議が終わり、水分補給をしようと俺は一人で一度教室に戻ってきた。
誰もいないと思っていた教室には、東雲が一人、自分の席に座って窓の外を眺めていた。
「試合、見に行かないのか？」
「うん…私はいいの」
今でこそこうやって普通に話せるようになったが、別れてすぐの時は目も合わせられなかった。
あれからもう、一年くらい経ったのか。
未練タラタラのまま別れたと思ったのに、突如現れた国木田に心をそのまま持っていかれていた。
また再会できるなんて、もしかして運命かも…なんて柄にもないことも考えた。
「ごめんね、風丸くん」
「何がだ？」
「いろいろ。私、かっこつけすぎてたのかなぁって」
昨日のことだとすぐに気付いた。
むしろ謝るべきなのは俺の方じゃないのか？
苦しんでいた東雲に気付かないまま、嫌われるのが怖くて別れを切り出した理由も聞けなかった。
俺の自分勝手な思い込みのせいで。
「私ね、もうあんなことするのやめる。今までもらったお金も全部返すことにしたの」
清々しい笑顔でそう言う彼女は、また一回り大人になったように見えた。
俺は彼女とは釣り合わない。
きっと、こいつを幸せにしてくれる奴なんて山ほどいるだろう。
「…そうか」
「うん。バイトも少し減らして、もう少し勉強しなくちゃ。おばあちゃんが残してくれた大切なお金、無駄にしたく、な…」
体が勝手に動いていた。
懐かしい暖かい感触、甘い香り。
「風丸くん…」
「すまん、少しだけ…」
こいつはこんなに小さかっただろうか。
今まで支えてやれなかった分、ぎこちなか抱きしめることしかできない自分が歯がゆい。
すると東雲が、実に頼りなく、弱々しく俺の背中に腕を回した。
「…ありがとう、私なんかを好きになってくれて」
ゆっくりと体を離すと、東雲の濡れたまつ毛が陽の光に輝いた。
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さきこ(プロフ) - カミカさん» ありがとうございます！がんばります〜(*´-`) (2018年11月25日 19時) (
レス) id: b0083ad673 (このIDを非表示/違反報告)
カミカ - これからも続けれるように頑張ってください！楽しみにしてます！ (2018年11月25日 16時) (レス) id: b42da9a3fb (このIDを非表示/違反報告)
さきこ(プロフ) - 星水さん» わあああありがとうございます！！すごく励みになります…(*´-`)がんばります！！ (2018年11月6日 23時) (レス) id: b0083ad673 (このIDを非表示/違反報告)
星水 - 続編おめでとうございます！前作からずっと影ながら応援してました、、！ とても面白いです！国木田ちゃんと氷浦くんが仲直りできますように、、！更新頑張ってください！ (2018年11月6日 20時) (レス) id: 3c634cce7d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さきこ | 作成日時：2018年11月1日 20時
