泣き虫2人 ページ3
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だが、実來が思った人物とは違ったようだ。赤い髪の毛に、制服。今日は学校が半日だけあり、帰ってきた直後の侑介とばったり会ったみたいだ。
実來は、要だ。と予想を付け顔を上げたが、その予想が外れ明らかに動揺を示した。
恐怖を顔に出しはしないが、泣き出しそうな実來。
実來は2日程前、要と“喋るときはもう泣かない”と約束したばかりだった。
その、大事な要とした、大事な約束を、破ってしまいそうな恐怖と、慣れていない兄弟を目の前にした恐怖に、じわじわと駆られた。
侑介は、部屋から1人で出て来た実來に驚いたようだったが、[1人で出て来た]というのには、なにか理由があるのでは無いか。と考え、実來と目線を合わせるように屈み、話しかけた。
「お〜、みーちゃん。どした?」
突然話しかけられた実來は吃驚し、涙を流す事を、一層促した。と言っても、まだ泣いてはいないが。
「…………か、かな……が、部屋にいなかった…。」
だいぶと間を開けた返事だったが、ちゃんと答えた自分に、実來は
「よし、よく頑張ったぞ、僕。」なんて思っていた。
「そかそか、かな兄いなかったか。
かな兄、今日は仕事だと思うぞ?」
仕事だったのか?でもいつもの手紙はなかったぞ?と、実來は思った。
それを侑介に伝えなければ。という何かの使命感。
「………でも、かな、お仕事行くとき……紙、おいていくっ…」
また、間を開けたものだったが、実來の意思は、侑介にきちんと伝わったようだ。
「う〜ん、そうだな〜。でもかな兄、朝はバタバタしてたぞ?なにか、急ぎの用でもあったんじゃないか?」
そこで、実來は納得した。「あ〜。昨日の夜、なんか言ってたな…。朝からいないとかなんとか…」昨日の会話を思い出したようだ。
教えてもらったのならば、礼を言わなければいけない。それなりの常識は持ち合わせている。
「あ、ありが、と…」
そう言ったとたん、実來の目から涙が。
こらえてきた涙が、枷が外れたように流れてきた。
涙がぽたりと落ちると同時に、実來がしゃがみこんだ。
その実來の泣き声につられてやってきたのは、新しく兄弟に来た、絵麻だった。
「なにか、泣き声が聞こえるんだけど、どうしたの?」
絵麻は、泣いている実來を見つけると、駆け寄った。
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春光 - アリスさん» 返信、遅くなってしまいました。申し訳ございません。イラスト、是非おねがいしたいです。ありがとうございます。 (2019年6月20日 23時) (レス) id: 766a3710d9 (このIDを非表示/違反報告)
アリス(プロフ) - イラスト描いて良いですか? (2018年12月14日 10時) (レス) id: e6bf6e1bae (このIDを非表示/違反報告)
春光 - 厨二病患者さん@歌い手厨?さん» ありがとうございます!最っ高の褒め言葉です!!その言葉で、頑張ろうって思いました!(単純)ご期待に添えられるよう、頑張ります! (2018年8月8日 2時) (レス) id: a566beeabf (このIDを非表示/違反報告)
厨二病患者さん@歌い手厨?(プロフ) - 最近、ブラコンにまたハマってきたので更新してるものをみて「うひょぉおおうあああ」とか叫んでました。←面白いし可愛いし最高です。これからも応援してます! (2018年8月7日 22時) (レス) id: 7c23cd898c (このIDを非表示/違反報告)
春光 - コメントありがとうございます!お返事遅くなってすみません汗、お返事の仕方がわからなくて…()ありがとうございます!そのお言葉が励みになります!こんな自己満作品ですが、読んで頂いてると思うと胸が高鳴ります!これからもよろしくお願いします! (2018年8月3日 0時) (レス) id: a566beeabf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春光 | 作成日時:2018年7月8日 2時