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ドラマの撮影が始まって数週間、撮影は順調に進み、間もなく初回放送日を迎える。
今回のドラマの脇は、名だたる俳優陣が固めている。
それはそれはそうそうたる顔ぶれだ。
初めてお会いした時は、芸能界のレジェンド達に私も佐藤くんも圧倒されたものだ。
この数週間、彼らの足を引っ張らぬよう、佐藤くんも努力しているのが目に見えてわかった。
そんな佐藤くんの傍らで、私も頑張らなければと気が引き締まる。
そんな中、ニューシングルの発売が決まった。
ドラマの宣伝のために各テレビ局のバラエティ番組を渡り歩く佐藤くんにまた仕事が増えて、正直佐藤くんの体が心配だ。
長い間この仕事をしているのだから、私ごときに心配されるほどヤワじゃないことくらいわかるけど、それでも心配なものは心配なのだ。
無理、しないといいけど。
深夜の駅のホームで電車を待ちながら、そんなことを思う。
まるで東京とは思えないほど人のいないホームは、一段と寒いように感じた。
明日はドラマの撮影の後、シングルのジャケット撮影がある。
SexyZoneが5人揃うのは久しぶりだ。
もちろん、菊池さんに会うのも。
菊池さんが笑う姿を思い浮かべて、白い息を吐いた。
カメラの前で見せるのとは違う、穏やかな笑顔が好きだ。
彼の優しさが滲み出ているあの笑顔を、ずっと見ていたいとさえ思う。
そういえば、年の離れた兄弟がいると言っていた。
菊池さんの優しさも、面倒見のよさも、そのおかげなんだろうか。
遠くの方から、電車の光が近づいてくるのが見える。
この景色も、この時間も、いつもと何ら変わりない。
毎日繰り返すだけのこの日々が、こんなにもキラキラして見えるのは、紛れもなく彼のおかげだ。
明日、どんな顔して彼に会おう。
一番に、どんな言葉をかけようか。
明日、彼は、どんな顔で私の名前を呼んでくれるだろう。
どんな話を、聞かせてくれるだろう。
彼のことを考えるとドキドキして、明日会えると思うと楽しみで、ああ、どうしよう。
きっと今日も眠れない。
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作者名:ぴい | 作成日時:2019年10月22日 3時