おねーさんと俺 -目黒-【SnowMan】

48 ページ48

ラウールはともかく何も言えない俺って情けない


みんなのヘアメイクが再開される中


深澤『凹む事ないんじゃね？』


阿部『何も言えないのが普通だよ？』


ふっかさんと阿部ちゃんが隣にきて慰めてくれる


『情けなくない？』


深澤『あそこで責めるのも違うし』


阿部『フォロー入れる方が情けないパターンもあるから』


『そっか』


2人の言う通りかもしれない、どっちを取っても変わらない





メイクを済ませてスタジオに行くと高橋さんとAさんは笑いながら話していて


さすがにこれは…見ていたくない光景だ


阿部『めめ、大丈夫？』


『阿部ちゃん…傍にいて』


阿部ちゃんが隣で俺を宥めてくれていると


「目黒」


Aさんが俺の名前を呼んだ


『何ですか？』


近付いてきたAさんは俺のネクタイを触る


「曲がってる」


『ありがとうございます』


「うん…よし！今日もカッコいい！」


こんな時にそんな褒め言葉言われて浮かれる程俺は…




単純だった


阿部『やっぱりめめはめめだね』


『いや、あれは…ズルいでしょ！』


事務所に戻ってYouTube撮影が始まるまで、阿部ちゃんから散々弄られて


予定よりかなり押して帰宅すると


「目黒も今帰ったの？」


エントランスで一緒になったAさん


『ねぇ、大阪でちゃんとご飯食べてたの？』


「食べてたよ？」


そんな会話をしながらエレベーターに乗り込むと


Aさんの手を握った


『Aさんの家行っていい？嫌でも行くけど』


「じゃあ聞かないでよ」


玄関が開いた瞬間押し込んで抱きしめると


「何？どうした？」


Aさんがあまりにも普通だから


ムカついてキスしていた


「ちょっ…」


『抱きしめるだけじゃ足りない』


荷物が落ちようがお構いなしに求めると


Aさんに胸を押された


『俺、Aさんが好き…もう無理だし、ちゃんと俺のになってよ』


「目黒…」


『好きって言ってよ』


少し潤んだAさんの目を見て動揺したけど


もう引き戻せないでいた


『好きだよ』


「とりあえず…入ろ」


『誤魔化さないでよ』


「誤魔化さないから」


その言葉に押さえる腕を離すと、Aさんは黙ってリビングに行った


後ろから着いていって今度は後ろから抱きしめると


Aさんの手が俺の手に重なる


「勢い…とかじゃない？」


『そんな訳ない』


「そっか…私も目黒が好き」


やっと聞けた…もらえた、Aさんからの「好き」を…

49→←47

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す