貴方の彼女？いいや、僕の彼女【中島敦】

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side敦




イライラする。

あぁ、イライラする。



何で楽しそうなの、A。


僕が信じなかったから太宰さんに乗り換えたの？


Aは、僕の事どうでもいいの？




「太宰さん、今度遊びに行きましょう」



「それはデートのつもりかな？それなら行くよ？」



そんな会話をしながらニコニコと笑うAと太宰さん。


イライラ、イライラ。


そんな所を見せられたら、謝ろうにも謝れない。



気付いてる？二人はすっごくお似合いなんだよ



太宰さんと釣り合うくらいに君は綺麗で、可愛いんだ。



そんな君が、僕と一緒に歩いていたと考えると、何だか急に恥ずかしくなってきた。



もうこのまま、放っておいた方が良いんじゃないか？



そんな事だって考えた。



だけど、本当の気持ちは隠せない。



イライラ、イライラ。



イライラ、イライラ。




今すぐに手を引いて太宰さんから引き離したい




イライラ、イライラ。


イライラ、イライラ。



積もり積もっていく真っ黒なドロドロとした気持ち


こんなの、知らない。



あぁ、そっか。


今までが、幸せ過ぎたんだ。



きっとこれは、神様が僕に与えた、罰。




近くて遠い彼女を、なんとも言えない気持ちで見つめる。




すると、太宰さんが歩いて来るのが目に見えた






「敦くん、ちょっといいかな」



「…はい」






貴方のその余裕そうな笑み、







＿＿＿＿初めて、憎く感じました。

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