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_____カランコロン
「ん、きた」
店の入口で廉の姿を探していたのは、かわいいというより美人という言葉が似合う女の子だった。
「こっち!」
立って迎えに行けばいいのに、座ったまま手を上げる廉はなんて俺様気質なのだろうか。
紫耀くんとは大違いだ。
『あんたが行きなさいよ!』
思わずセットされた廉の頭にゲンコツを落とす。
「ほんっと俺の1時間返せや、マジで!」
ちょっとトップが崩れたくらいでヤイヤイうるさいところはまだまだ子供で、紫耀くんはそれをみて楽しそうに笑っている。
「…れんくん?」
美人な女の子は見た目と違って消極的そうな子で、廉のタイプはこういう子かと姉としてのリサーチをしてしまう。
「Aちゃん、お姉ちゃんの顔してる」
小声で耳元で囁く紫耀くん。
『えっ、ほんと?!』
「うん、なんかいいね。」
少し寂しそうな言い方をするから、切なくなってしまう。
紫耀くんはひとりっ子だと前に聞いたから。
「これ、俺の姉ちゃん」
ぼーっとしていれば、自分が紹介されている声でふと我に返る。
『廉の姉です、こんな弟だけどよろしくね。』
「はいっ、こちらこそお願いしますっ、」
緊張しているのか少し震え声で話す彼女はとても可愛くて、廉が羨ましくなった。
『ほら、早く行きなよ。日付またぐ前には帰っておいでよ』
今はわたしが廉の保護者のようなものだから。
厳しいかなと思いつつも、一応そう伝えた。
「ん、わかった。平野さん、また!」
「またね弟くん、」
大学生カップルの後ろ姿はあんなに可愛らしいものだったかと、2人をみて微笑ましくなる。
「かわいいね、二人とも」
『ね、羨ましいな。』
ポロッと無意識に発した言葉に、特に深い意味はなかった、はずだった。
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みゅう(プロフ) - 最高です泣いちゃいました(TT)本当に恋してるとき胸がギュゥってするやつになってやばいです(TT) (2019年2月11日 23時) (レス) id: e5fba142e0 (このIDを非表示/違反報告)
えり(プロフ) - 読ませていただきました(^^)心が暖かくなる素敵なお話でした!ありがとうございます! (2019年1月18日 19時) (レス) id: faf246fb32 (このIDを非表示/違反報告)
べりーちゃん - 素晴らし作品でした。ありがとうございました。 (2018年11月3日 8時) (レス) id: 86a2f67dc6 (このIDを非表示/違反報告)
るる(プロフ) - ひかるさん» 読んでいただきありがとうございます!廉くんのお話公開中ですのでよろしければぜひ! (2018年10月28日 0時) (レス) id: 76e7965f2e (このIDを非表示/違反報告)
るる(プロフ) - Mt.Wind Bellさん» ぞっこんになっていただけて嬉しいです( ; ; )またはちみつショコラの世界でお会い出来るように、機会があれば番外編などお届けできればなと思っております! (2018年10月28日 0時) (レス) id: 76e7965f2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:るる | 作成日時:2018年9月24日 17時