＊32 ページ32
.
金曜日の夜、
わたしはものすごく久しぶりに紫耀くんの店の前に立っていた。
閉店間際を選んだのはわざとだ。
_____ｶﾗﾝｺﾛﾝ
「いらっしゃいませ」
出迎えてくれたのは初めて見る店員さん。
紫耀くんに会いに来たのだから。
今日こそはちゃんと自分の口で、
『あの、オーナーの平野さんいらっしゃいますか？』
「いますけど…」
きっと紫耀くんは人気者だ。
見た目も中身もよくて、おまけにあんなに美味しいショコラを作るショコラティエが職業なのだから
紫耀くん目当てで来るお客さんだってたくさんいるだろう。
わたしもそうか、
自分だけ特別かのように思っていたけど、別に彼女でもなんでもないわたしはただのミーハーな客でしかない。
「あの、お約束はされてますか？」
ここは取引先だろうか、
まさかこんなことを聞かれるなんて思ってもいなかったから言葉に詰まる。
『いや、あの……してないですけど、Aだって言ってもらえれば伝わると…』
自意識過剰も程々にしたい。
たった2回会ったっきり。
最後はもう3ヶ月前、
忘れられてたっておかしくはないのに。
「Aちゃん！」
店員さんが渋っていると奥からでてきた紫耀くん。
『紫耀くんッ、』
「久しぶり、待ってたよ。」
勝手に怖くなって遠ざけて、ずっとここにだって来なかったのに。
待ってたよと迎え入れてくれる彼の優しさは乾いた心に染み入った。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2872人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みゅう(プロフ) - 最高です泣いちゃいました(TT)本当に恋してるとき胸がギュゥってするやつになってやばいです(TT) (2019年2月11日 23時) (
レス) id: e5fba142e0 (このIDを非表示/違反報告)
えり(プロフ) - 読ませていただきました(^^)心が暖かくなる素敵なお話でした！ありがとうございます！ (2019年1月18日 19時) (レス) id: faf246fb32 (このIDを非表示/違反報告)
べりーちゃん - 素晴らし作品でした。ありがとうございました。 (2018年11月3日 8時) (レス) id: 86a2f67dc6 (このIDを非表示/違反報告)
るる(プロフ) - ひかるさん» 読んでいただきありがとうございます！廉くんのお話公開中ですのでよろしければぜひ！ (2018年10月28日 0時) (レス) id: 76e7965f2e (このIDを非表示/違反報告)
るる(プロフ) - Mt.Wind Bellさん» ぞっこんになっていただけて嬉しいです（ ; ; ）またはちみつショコラの世界でお会い出来るように、機会があれば番外編などお届けできればなと思っております！ (2018年10月28日 0時) (レス) id: 76e7965f2e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：るる
| 作成日時：2018年9月24日 17時
