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『12階…っと、』
ボタンを押そうと手を伸ばせば、既にわたしの目的の階のランプは点灯している。
今このエレベーターにはわたしともう1人しかいなくて、おまけに男性。
彼が甘いものが好きなのか、
はたまた彼女へのプレゼントなのか、
なんて見知らぬ彼がここへ来た目的を勝手に推察しながら上がっていくエレベーターに身を任せていた。
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__________バンッ
エレベーターが6階のランプを示した直後、大きな音がして急停止。
電気も全て落ちて真っ暗闇に包まれた。
「雷落ちたかな、」
男性が何やら言っているけれど、わたしは震え出す手足を抑えるのに必死だった。
昔から密室は嫌いだ。
トラウマかと言われれば、幼い頃家族で行った巨大迷路で隠し扉に手を触れて、数十分ひとりで閉じ込められた過去があるくらい。
おそらく原因はそんなことじゃないだろうけど。
落ち着かなくて、ただただ怖くて
いつもなら隣で手を握ってくれる彼も、背中をさすってくれる弟もここにはいない。
『ゆう…ったくん…』
震える手でスマホを取り出せば電波は立っていて、履歴の1番上にある彼にとっさに電話をかけた。
声を聞ければ落ち着ける気がして。
______カチャ
電話をとる音が聞こえて、
『ゆう…ッ』
彼の名前を呼ぼうとしたのに。
「もしもし、勇太くんのケータイですけど、お母様ですか?」
彼じゃない女の人の声で、わたしの声は遮られた。
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みゅう(プロフ) - 最高です泣いちゃいました(TT)本当に恋してるとき胸がギュゥってするやつになってやばいです(TT) (2019年2月11日 23時) (レス) id: e5fba142e0 (このIDを非表示/違反報告)
えり(プロフ) - 読ませていただきました(^^)心が暖かくなる素敵なお話でした!ありがとうございます! (2019年1月18日 19時) (レス) id: faf246fb32 (このIDを非表示/違反報告)
べりーちゃん - 素晴らし作品でした。ありがとうございました。 (2018年11月3日 8時) (レス) id: 86a2f67dc6 (このIDを非表示/違反報告)
るる(プロフ) - ひかるさん» 読んでいただきありがとうございます!廉くんのお話公開中ですのでよろしければぜひ! (2018年10月28日 0時) (レス) id: 76e7965f2e (このIDを非表示/違反報告)
るる(プロフ) - Mt.Wind Bellさん» ぞっこんになっていただけて嬉しいです( ; ; )またはちみつショコラの世界でお会い出来るように、機会があれば番外編などお届けできればなと思っております! (2018年10月28日 0時) (レス) id: 76e7965f2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:るる | 作成日時:2018年9月24日 17時