*芥川さんと「招宴の喧騒」 ページ3
「...馬子にも衣装」
「絞め殺されたいの?」
この男は本当に私の逆鱗を逆撫でするのが上手いようだ。
.
.
ポートマフィアの傘下に所属する組織の一つが何やら最近怪しい動きを見せている。
そんな情報が入った直後に開催された組織のトップ主催のパーティー...そこに私達は潜入していた。
パーティーともなれば当然普段の装いで参加することが許される筈もなく、樋口ちゃんと私はドレス、芥川と中也さんはスーツを身につけていた。
普段は刀や銃を振り回していても私達だって女の子なのだから、普段は着ない美しい装いに袖を通せば気分が舞い上がってしまうのも仕方ないと思う。
そう、言ってしまえばとても浮かれていたのだ、あの時の私は。
それなのに何なんだ、うきうきしながら中也さんと芥川の待つ集合場所へ向かえば芥川は私のことをじっと見つめるや否や、馬子にも衣装だなんて言い放ったのだから気分が悪くて仕方ない。
ハナからあの男の口から褒め言葉が出ることは期待していなかったが、せめてもう少しマシな言い方は無かったのだろうか。女心のわからない奴め。
(中也さんも樋口さんも褒めてくれたし、変ではないはずなんだけど)
中也さんに至っては女は化粧と装いで化けるんだな、なんて普段の私がまるで女らしくないとも取れることを言っていたけれど、それでも綺麗だとは言ってくれたのだ。
(せっかく綺麗になって嬉しかったのにな〜.....
一番褒めて欲しい人があの評価じゃ気分下がっちゃうよ)
憂鬱なため息をつくと、普段よりも編み込まれた髪の毛がさらりと視界の端で揺れた。
2人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:朔麻 | 作成日時:2019年5月26日 23時