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『今日も楽しかった〜』
早くももうお別れの時間。
空はもう暗くなり始めていて夕日との境目がとても綺麗だった。
「また遊ぼうね」
毎回お別れの時はもっと一緒にいたい、と思ってしまう。
「バイバイ、」
手を振る龍斗くんを見るのが辛いから今日はすぐに背を向けて駅に向かった。
また会えるんだから、一生のお別れじゃないんだから、と自分に言い聞かせるけど、やっぱり寂しいものは寂しい。
『まって、』
するといい香りがふわっと鼻に届いて耳元で龍斗くんの声が聞こえるから、しばらくしてから龍斗くんに後ろから抱きしめられているんだと気がついた。
え……まって、なんで……
『……まだ一緒にいたい』
「っ、」
なんでそんなこと言うの……?
そんなこと言われたらドキドキする他ないよ……
「わたしも、、龍斗くんとまだ一緒にいたい」
『ほんと、?』
「うん…」
すると体が離されて向かい合う形になった。
改めて綺麗な顔を見ていると胸がキュンと高鳴る。
『俺……Aちゃんのことが好き』
「へ……?」
一瞬時が止まったような感覚に襲われて顔を上げると龍斗くんの瞳が小さく揺れた。
「わたしも……好き」
勇気を振り絞ってそう呟くとぎゅっと優しく抱きしめてくれた。
好きな人に好きだって伝えられたの生まれて初めて
だ……
『Aちゃんのこと幸せにするから…俺と付き合ってください』
「はい、よろしくお願いします、」
バクバクとうるさく鳴る心臓を抑えることはできなくて、龍斗くんに聞こえちゃうんじゃないかって不安になってしまう。
誰かに告白されるのも龍斗くんが初めて……
初めてのことが埋められていくとこんなに幸せなんだね。
「あ、そろそろ帰れって……」
『そうだよね、ごめん』
絶妙なタイミングお母さんから連絡が入ってきた。
ほんとはこのままずっと一緒にいたいけど、帰らないといけないのは仕方がないこと。
名残惜しく体を離して「バイバイ」と小さく手を振った。
『バイバイ、またデートしようね』
なんて寂しそうに言うからわたしも辛くなってしまう。
次会えるのはいつなのかな……
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作者名:サリー。 | 作成日時:2019年12月24日 13時