002 ページ2
あれから1年が経ち、今年もクリスマスがやってきた。
相変わらず今年もクリぼっちなわたしはもう諦めつつあった。
高校で無理なら大学で頑張ろ……
でも周りにはカップルがちらほらいて、羨ましいばかり。
そんな寂しい気持ちを紛らわすために1人でLe vôtreに入った。
店内にはクリスマスの装飾がしてあって、ショーケースにも期間限定のケーキがたくさん並んでいる。
うーん、どれにしよっかな……
いつもはチーズケーキだけど今日は期間限定のいちごタルトにしようかな……
でもチーズケーキも食べたいし……
ショーケースの前で1人で悩んでいると扉が開く音がしてチリンチリンと鈴がなった。
やっぱりクリスマスはお客さんいっぱい来るんだね。
『いちごのショートケーキのホールください』
さっき入ってきた人だろうか、先にいたわたしよりも先にすぐ注文をするからびっくりしてそちらを目をやった。
制服を着ていて背が高くて顔が整っていて……
え……
もしかして昨年の男の子!?!?!?
1人で思わず驚いてしまったけど、きっとこの人はわたしのことなんて覚えてないんだろうな……
『落としましたよ』
「え、?あ、すみません!」
いきなり後ろから肩を叩かれたと思えば、その男の子が落としたわたしの会員証を拾ってくれたみたいで……
『昨年も会いましたよね』
「え……」
覚えてるの、?
わたしのことなんか覚えてくれてるの!?
驚きのあまり声が出なくて、その代わりに思いっきり首を縦に振った。
『ケーキ買いに来たんですか?』
「え、あ、はいっ、」
『何買うんですか?』
「何がいいと思いますか?」
咄嗟に出た言葉はまさかの質問返し。
ガチガチに緊張しているわたしはきっと気持ち悪いと思われているだろうな。
『ふふ、これはどうですか?』
だけど彼は優しく微笑んで答えてくれた。
指さした先には期間限定のいちごタルト。
「じゃあこれにします!」
そして2人でそれぞれのケーキを受け取り、お店を後にした。
94人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:サリー。 | 作成日時:2019年12月24日 13時