001 ページ1
毎年この時期になると街は賑わいはじめる。
家族連れの人もいればカップルも。
そう、カップルがたくさん現れる時期。
ほら、今前歩いてる女の人だって男の人としっかり恋人繋ぎなんかしちゃってるし。
心の中ではとっくに「リア充爆発しろー!!」って叫んでる。
向こうの方ではコートを羽織った大人の男の人が学生ぐらいの女の子にプレゼントなんか渡しちゃってるし……
今どきは年齢とか関係ないんだね。
じゃあわたしも社会人と付き合えるかな?なんてポジティブになれるわけもない。
あーあ、今年もクリぼっちか……
もう高2なのになぁ……
そう不貞腐れながら1人で混みあった駅をとぼとぼと歩いていた。
すると足元に何かが落ちた気がしてしゃがんてよく見てみると、それは会員カードのようなものだった。
これ……!
わたしの大好きなケーキ屋さんの"Le vôtre"の会員カードだ!!
『あの……』
それを拾い上げて声のする方を見上げるとそこには背の高い制服を来た男の子が立っていた。
「あ……これ落とされましたか?」
『はい…ありがとうございます』
慌てて彼の手元に戻すと小さく会釈をしてお礼を言ってくれた。
それにしてもこの人……すごい顔整ってるな……
『?』
「あ、すみません…」
あまりにも見つめすぎて不思議がられてしまった。
そしてその人は再び自分の駅に向かって歩き始めた。
あーあ、わたしに話しかける勇気があればよかったのにな……
そんなことを思いながら孤独を感じながら白い息が漏れる口元をマフラーで覆った。
94人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:サリー。 | 作成日時:2019年12月24日 13時