俺しか。 ページ22
sora side.
·
「んー、、じゃあ、そのネックレス 今 着けてくれん？箱は持っとってほしい笑」
Aちゃんにそう言われた時、俺は自分の耳を疑った。
俺が、Aちゃんの首にネックレスを着ける？
この俺が？？
『、、俺が、着けるんか？』
「逆に青空ちゃん以外誰がおるん？笑」
両手いっぱいにプレゼントを抱えたAちゃんが、おかしそうに俺の顔を見つめる。
『いや、まぁ、笑』
「ほら、はよ着けて！」
そう言って、Aちゃんが俺に背を向ける。
、、夢か。これは夢なんか。
いや、これが夢やとしたら、俺 割とちゃんとした変態ぞ。
『ほんまに俺でええんか？』
どうしてもこの状況を信じきれず、また確認した。
「青空ちゃんしかおらんって言うてるやん笑」
Aちゃんのその言葉を聞いた時、別の意味に聞こえてしまった。
俺しか、おらん。
わかってる。
今ここにはAちゃんと俺しかおらんから、"ネックレスを着けられる人" が俺しかおらんっていう意味なんはわかってる。
でも。
それでも、Aちゃんに "俺しかおらん" って言われたことに、少し喜びを感じてしまった。
こんなことでいちいち喜んで勝手ににやけてる自分が、阿呆みたいに思えてくる。
『、、そうやな』
Aちゃんがその言葉を言った意味をもう一度確認するように、俺は呟いた。
『着けるぞ？』
「うん、」
ネックレスを着けようとすると、Aちゃんの首筋に手が触れた。
この人を、俺だけのものにしたい。
そげなこと、ずっと思っとる。
思っとるだけで少しも行動に出られへん自分を、これまで何度も何度も嫌ってきた。
今この瞬間がずっと続いたら、Aちゃんは俺のもんになってくれるやろうか。
そんなこと、あるやろうか。
でも、時間が止まるわけもなく。
『、、はい。』
俺は、街灯に照らされて光り輝くネックレスを、Aちゃんの首に着け終えた。
「ありがとう！」
Aちゃんが、俺の方を向き直った。
「どう？」
そうやって、少し恥ずかしそうに俺に聞いてくる。
そんなもん、答えは1つしかねぇ。
『、、似合っとるぞ、すごく』
「、、ありがと、」
そう言って、Aちゃんが俺に笑いかけるから。
その笑顔が眩しくて、思わず目を逸らしてしまった。
「大事にするから。ずっと。」
『おう、』
それだけは言えたけど、Aちゃんの方を見ることはできんかった。
·
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 140人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ll(プロフ) - かざみどり様はじめまして、llと申します。設定、ストーリーなどすべてが素敵ですごくおもしろくて、あっという間に読み終わってしまいました。ぜひ続きも読ませていただきたいのですが、パスワードは、どこでお聞きしたら、よいでしょうか？ (2021年10月30日 11時) (
レス) id: 4d8400b2d0 (このIDを非表示/違反報告)
かざみどり(プロフ) - はべりさん» はべり様、初めまして！うわぁぁとても嬉しいです嬉しすぎますありがとうございます、、！更新頻度低くてすみませんこれからも頑張ります！本当にありがとうございます、、(´；ω；｀)◎ (2020年1月8日 15時) (レス) id: de1b6b0ed8 (このIDを非表示/違反報告)
はべり(プロフ) - かざみどり様はじめまして、はべりと申します。青空くんの作品は少ないなかで、素敵なストーリーで心動かされるこのお話は最近の楽しみの一つです。熊本弁のあまりのお上手さに感服です…！青空くんの台詞、どれも格好良くて。これからも応援しています。 (2020年1月5日 23時) (レス) id: 99d3bd3032 (このIDを非表示/違反報告)
かざみどり(プロフ) - みんみんさん» ひゃぁぁぁ、うれしすぎます(´；ω；｀)よろしければぜひこのまま読み続けていただきたいです〜、ありがとうございます！◎ (2019年9月20日 6時) (レス) id: de1b6b0ed8 (このIDを非表示/違反報告)
みんみん(プロフ) - 前回の櫻井さんの小説から読ませてもらってます！青空くんの長編小説読めるなんて嬉しいです！ (2019年9月20日 0時) (レス) id: 4870fecc32 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：かざみどり | 作成日時：2019年9月14日 11時
