まぁ双子っすからね Ⅱ ※完結済み (ページ8)

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俺は、食堂から出てきたぴくとさんから話を聞いた。そうすれば、ふいに思い出した。特に頭痛が起きたわけでもなく、倒れ込んだわけでもなくて、すっ、と頭に前世の記憶が戻ってきたのだ。

そりゃあ、楽しいことも
辛かったことも
初めて幹部の全員に会ったことも
喧嘩したことも
Aの最後も
自分の最後も。
全部頭に入ってきたわけで。

俺の目の前で姉…というか先輩が放った言葉を聞いて、少し苛立った。

『…皆、大っ嫌い…』

何がや？
皆生きとって、平気な顔して戻って来たから？
助けてもらえなかったから？

それでも、死を勝手に望んだのは先輩だ。

「皆を置いて…俺を置いて、勝手に死んだ人はどこの誰っすか。」

『……ごめん、ショッピくんは私のことを信じて待っていてくれたのに…。ショッピくんを騙して…皆のこと嫌いだなんて思ってもいないこと口にして…』

そうあの時、
出かけてくる。すぐ戻ってくる。
と聞いていてずっと待っていた。
待っていたら外から叫び声が聞こえてきて。

＿Aっ！！！

＿死ぬなっ！！！

ああ、自分は頼られてなかったんだ、
とても悲しくなった。すぐに涙が出てきた。
外に飛び出したら、幹部が全員そこにいた。
彼らの目の前には、倒れて少しも動かないAがいた。

「Aが、A先輩が悲しくて辛かったのは分かります。…でも、俺も同じやった。だから、勝手に先輩がいなくなって更に悲しくなった。少し怒ってました。でも、今世でまた引きづって何になるん？まだ十数年しか生きてないのにこれからずっと苦しむなんて、たとえAがよくても俺が、俺たちが耐えられへん。
だから…

泣いてばかりいないで、笑ってくださいよ。
俺らのこと嫌いだなんて言わないで、笑って、ただ頼ってください。」

自分の言いたいことは全て言ったつもりだ。
それでも姉が、Aが、A先輩が
変わらないのなら、諦める。でも、
そんな人じゃないことは十分知っている。
何年も家族として生きてきたんだ。

『弟なのに、後輩なのに、私よりもずっとしっかりしてるんだなあ。
…と言っても、今世は双子で、前世は同い年だったけど幹部に入るタイミングが違っただけの関係だけどね。…私たちって、どこに行っても、どんな世界でも…ほんと似てるね。』

…そりゃあ、当たり前や。

「…まぁ、双子っすからね。」