短 篇 詰 め 。【∞】

雨と傘。 feat:Ryuhei-M ページ36

雨の日はキライだ。


グラウンドが使えなくなるから。

運動部が活動しなくなるから。


...放課後、走り込む彼を。


丸山くんを、見れなくなるから。



だから、雨の日だけは早めに学校を出る。


｢A〜、帰ろーや｣

｢ん、まってて〜｣


親友の大倉。なんだかんだ仲良くやってる。


わたしが放課後、丸山くんを見てるのも知ってる。

結構いいヤツ。


丸山くんは、隣のクラスで。

大倉は中学の頃から丸山くんと同じ学校らしくて、

仲がいいって。


一緒にバンドもやってるもんね。


文化祭のライブ、


チケットをくれた大倉には申し訳ないけど、


いつもとは違う 色っぽい雰囲気でベースを弾く

丸山くんに釘付けだった。


そんなに近くにいるハズなのに

わたしは丸山くんと一度も喋ったことがなくて。


片想いを始めて、もうすぐ半年が経つ。


えぇい、このチキンめ。




｢あ、なぁ、マルも一緒でええ？｣


大倉がニヤニヤしながら訊いてくる。


｢ぇ...｣

えっ...まる、マル、丸...丸山くん...！？



わたわたしてるわたしを見透かすように、


｢そろそろ、見てるだけやったら足りひんのとちゃうん？｣


ぐさり、と本心を突っついてきて。



はっと気付いたら、こくんって頷いてた。

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