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「Aさんっ」
お会計終わり、
ちょっと高めの安田さんの声が、私の名前を呼ぶ。
すっかり名前まで覚えられちゃって、
なんか照れるなぁ、なんて単純なオトメゴコロ。
カウンター越しに、顔を寄せられて。
一気に跳ね上がる心拍数。
はーい?なんて返事はできなかった。
「僕、そろそろ上がりなんで...待っててもらえます?」
「は、ぃ...」
怪しまれないように、怪しまれないように、って
いつもどおりのはずの声で、トーンで、返事して。
「んふふ、じゃあ入口のトコに居ってくださいね」
爽やかにそう言い置いて、
担当してるテーブル席に戻っていった。
────────
15分くらい待つと、
「お待たせしましたぁ」
って、お店の中にいる時とは違う感じの
ユルめの格好で従業員出入口から出てきた。
いつもお店でしか会えない安田さんと外で会ってることに
急に恥ずかしくなってきて、顔が熱くなる。
外の壁の陰になるようなところまで腕を引かれていく。
「Aさん、」
安田さんの甘い声で、名前を呼ばれて。
これから来るはずもない甘い展開に
期待なんてしちゃうようなシチュエーション。
「すきです」
期待通りのコトバが来ちゃって、ビックリして。
返って冷静になる自分がいる。
「…期待、しちゃいますよ、安田さん」
目の前のかっこいい安田さんは、ふふ、って笑って。
「期待、してください、Aさん」
「...私も、すきです」
そう言ったら、安田さんの口許が緩む。
と同時に、ふわりとぬくもりが私を包んで。
耳元で、ずっとこびりついて離れなかった甘い声が響く。
「...日曜日って曲、聴いてみてください」
私の頭にはてなマークが浮かぶのを察したのか、
また耳に唇を寄せる。
「やっと、両想いなれたから。僕が、伝えたいコト。
聴いてみてくださいね」
そう囁いて、耳たぶに安田さんのクチビルが触れて。
頬をたどって、私の唇にも触れて、離れた。
Fin.
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そるとさうんど(プロフ) - すごく面白かったです!更新楽しみにしてます。 (2016年1月21日 19時) (レス) id: 18cc1db912 (このIDを非表示/違反報告)
淋兎(プロフ) - ∞キュウソまぐまぐ∞さん» コメントありがとうございます!わわわ、嬉しいです...!キュウソネコカミさんの曲はまだ聴いたことがないのですが、今度聴いてみたいと思います! (2015年10月13日 23時) (レス) id: c6cb689a5e (このIDを非表示/違反報告)
∞キュウソまぐまぐ∞ - 私もエイトとKANA-BOONとキュウソがすきです! (2015年10月13日 23時) (レス) id: 0fe8342ca0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:琳兎 | 作成日時:2015年9月9日 18時