・・・ ページ30
｢...なんか、ごめん、こんなこと話して...｣
なぜか胸が苦しくなって、涙が出そうになって。
思わず、下を向くと。
少しの間をあけて、視界が暗くなって。
ふわり、と村上の匂いを強く感じて。
背中には、大きな手の感触。
｢...それ、ほんまに？｣
あぁ、私、抱きしめられてる。
理解をした途端に、
頭に血が上ったように顔やら耳やら首やらが熱くなって。
｢ほんとだし...こんな嘘吐くわけない...｣
｢やったら、両想い、ってやつやな？｣
心臓が、止まったような気がした。
顔、あげぇって村上が言ったから。
上を向こうとすると至近距離に、
嬉しそうな村上の顔があって。
今までにないくらい近くて。
私って、こんなに感情の起伏激しかったっけ、なんて思った。
｢昨日な、めっちゃ心配やった...｣
やばい、うれしい、
｢ほんで、今日はずっと避けられるし...｣
あ、村上と話してないって思ったら。
私が避けてたのか。
やだ、私ったら乙女っ！
なんて心の中でボケてみる。
表情には出してなかったハズなのに
村上には伝わったみたいで、ベシっと頭を叩かれた。
｢痛い...ちょっとくらい優しくしなさいよ...｣
｢人の一生一代の告白集中して聞いとらん方が悪いわ、｣
軽口叩きあって。
気がつくと村上が私の耳元に顔を寄せてて。
｢すきやで、A｣
｢っ...｣
村上がこんなカッコいいことする奴だなんて聞いてない。
｢んで、このマフィン、貰ってええ？｣
って。
私が後ろ手に持ってる可愛らしい袋を指指して
ニヤニヤしながら聞いてきて。
｢にやけ顔気持ち悪い、いいに決まってんでしょーがこのゴリラ｣
腹が立ったからゴリラって言ってやった。
ずっと思ってたけどなかなか言えなかったんだよね...！
でもさ。
｢ん、ありがとうな、｣
なんて今までにないくらい優しい声で言って。
今までにないくらい優しい笑顔で。
突っ込むときとは違う、優しい手つきで私の頭を撫でた、
恋人になった村上は。
全然、ゴリラなんかじゃなかったの。
Fin.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 94人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
そるとさうんど(プロフ) - すごく面白かったです！更新楽しみにしてます。 (2016年1月21日 19時) (
レス) id: 18cc1db912 (このIDを非表示/違反報告)
淋兎(プロフ) - ∞キュウソまぐまぐ∞さん» コメントありがとうございます！わわわ、嬉しいです...！キュウソネコカミさんの曲はまだ聴いたことがないのですが、今度聴いてみたいと思います！ (2015年10月13日 23時) (レス) id: c6cb689a5e (このIDを非表示/違反報告)
∞キュウソまぐまぐ∞ - 私もエイトとKANA-BOONとキュウソがすきです！ (2015年10月13日 23時) (レス) id: 0fe8342ca0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：琳兎 | 作成日時：2015年9月9日 18時
