短 篇 詰 め 。【∞】

・・・ ページ25

今日も、Aちゃんを探す。


｢今日も探しとるん？｣

｢...探しちゃ悪いか｣

｢ふぅーん？｣


ヒナがニヤニヤしながらこっち見てくる。


｢あ、あの子とちゃうん｣


ヨコが見てる方に目を向けると

Aちゃんがゆっくり振り向いて、目が合った。


｢っあ...｣

ヘッドホンを外して、ぺこりとする彼女。

安定の可愛さ。


電車に乗ると、ヨコとヒナにぐっ、て

Aちゃんの方に押された。


｢頑張ってきい！｣


ヒナはほんまにオカンすぎて性別疑うわ...

まぁ男やなくてもゴリラなんは変わらんけど。

ヨコは...ヒナに便乗しとるな。夫婦か。


そんなくだらないこと考えて

心臓のばくばくしてんの隠すみたいに

Aちゃんに話しかけた。


｢...Aちゃん、？｣

｢っぁ、すばるさん！｣


ぱぁっと咲いた笑顔が眩しい。

こんなん、ガラやないけど。


｢新曲、聴きました...？｣

日曜日リリースされた、

大好きなアーティストの新曲。


｢めっちゃ、ええ曲でした｣

｢やっぱり、すばるさんとは趣味が合いますね｣

ニコニコしながら言うAちゃんが

めちゃくちゃ愛おしい。





その愛おしさのあまり、言うてもうた。


｢...駅前の、CD屋、一緒に行かへん？｣


あ、と気づいた頃には遅くて、

俺とAちゃんの間には沈黙が降りてきた。



｢...ぜひ！｣

｢...っへ？｣

｢CD屋さん！行きましょ！｣




電車のなかで、はじめての約束。


心臓が痛くなるくらい嬉しかったっちゅうのは、

まだAちゃんには秘密。









Fin.

美しいのさ feat:Yuu-Y→←・・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す