短 篇 詰 め 。【∞】

ヘッドフォン feat:Subaru-S ページ23

いつも駅で見かける、

俺と同じ赤いヘッドフォンをしたあの子。



を、いつも目で追っとる俺。



を、面白がっとる幼なじみのヨコとヒナ。



高1の夏から、ずっと同じ時間に電車に乗っとる。


半袖の夏服を少し着崩したあの子が、妙に目を引いた。







今日もまた、同じ17時20分の電車。


赤いヘッドフォンのあの子を、少しだけ目で追う。


混雑の時間やからあの子はすぐ人混みに消えてまうけど、


なんでかそれでもええって思えんねん。




そんなこと考えながら、ヘッドフォンをして

電車に乗る。









とんとん、と肩を軽く叩かれてる感覚で目が覚めた。



｢...も...終点で...よ｣


見上げると、あの子が居った。


赤いヘッドフォンを首にぶら下げとって。





...って、終点！？！？！？



はっと目が開く。


急に身体を起こしたら、

ヘッドフォンがするっと外れる。


それはもう大音量で聴いとったから

音がそれはもう漏れる漏れる。



｢っあ...これ...｣


｢すんません、うるさかったっすよね｣


｢このバンドっ...すきなんですか...？｣


ヘッドフォンを拾うと、

嬉しそうな顔したあの子と目が合った。


｢そうですけど...｣


｢あたしも、だいすきなんですっ...！｣



少しだけ、ドキッとした。

そのだいすきはこのバンドに向けられたモノやけど。


とはいえ、このバンドは意外とマイナーで

俺の周りで聴いとる奴はあんまし居らん。


｢ほんまですか...！？｣


あぁ、彼女が嬉しそうな顔しとった理由がわかるわ...

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